神戸大など、環境DNA解析法によって海洋中の魚群の分布や規模を明らかに

 

神戸大学らは3月3日、海水中のDNA情報で魚群の居場所と規模を明らかにする技術を開発したと発表した。

同成果は、神戸大学 山本哲史 学術推進研究員、北海道大学 南憲吏 特任助教、統計数理研究所 深谷肇一 特任助教、京都大学、龍谷大学、千葉県立中央博物館らの研究グループによるもので、3月2日付けの米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。

海洋の魚などの水産有用種の調査には従来、網を用いた捕獲や魚群探知機による計測が用いられてきた。しかし、いずれも調査に多大な時間やコストがかかることや、調査結果にばらつきが大きいなどという問題があった。

同研究グループではこれまでに、環境中のDNA情報を利用して、魚の種類を判定する「環境DNA解析」技術を開発してきた。環境DNA解析では、1lの水を汲むだけで調査を行うことが可能なため、特別な専門技術を必要とせず、誰でも簡単に素早く調査することができる。また短時間で多数の地点を調査することができるため、捕獲調査など従来の方法に比べて効率的な調査が可能となる。

今回の研究では、2014年6月に京都府・舞鶴湾の47のポイントにおいて表層と底層からそれぞれ1lの海水を汲みとり、そこに含まれるマアジの環境DNA量をリアルタイムPCR法によって測定。この結果を魚群探知機によって測定した採水地点周辺のマアジの生物量と比較したところ、マアジの環境DNA濃度は採水地点から数10~150m以内のマアジの生物量を最もよく反映していることが明らかになった。

これまで、環境DNA解析は水槽実験や池といった閉鎖的な水域や、河川の短い区間のような水の流れが単純な水域でしか検証されていなかったが、この結果から、海洋においても環境DNAは観測対象種の生物量を反映していることが裏付けられ、環境DNA解析法によって魚群の分布やその規模を定量的に明らかにできることがわかったといえる。ただし、漁港付近では水揚げされたマアジに由来すると考えられる環境DNAも検出され、環境DNAの放出源が生きているマアジだけではないことも示唆されている。

現時点では、生物量推定の方法は1種ずつ個別に解析する必要があるが、同研究チームは、環境DNA分析によってその海域に生息する魚種をまとめて検出する手法の開発にもすでに成功しており、その技術と組み合わせることで、多数の魚種の分布や量をまとめて明らかにすることができる可能性があるとしている。

47地点分のサンプルから推定したマアジ環境DNA量の分布を示した図。赤い場所ほどマアジの環境DNA量が多く、青くなるにつれて少ないと推定される。白はマアジの環境DNA量が分布しないと推定された範囲



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