東北大、リチウムイオン電池を用いて人工的な磁石を創出することに成功

東北大学は3月1日、リチウムイオン電池に分子性材料を電極として組み込むことで、人工的にイオン制御可能な磁石を創り出すことに成功したと発表した。

同成果は、東北大学 金属材料研究所 谷口耕治准 教授、宮坂等 教授らの研究グループによるもので、独科学誌「Angewandte Chemie International Edition」に近日掲載される予定。

今回の研究では、常磁性である水車型ルテニウム二核(II, II)金属錯体が非磁性のテトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体で架橋された中性の層状化合物を設計し、これをリチウムイオン電池の正極として組み込んで放電させた。リチウムイオン電池では、放電時に正極にリチウムイオンと電子が同時に導入されるが、同中性層状化合物の場合、電子は電子受容性を持つ非磁性のTCNQ誘導体へ選択的に注入され、磁気モーメントが発生する。

同研究グループは、この架橋分子への磁気モーメントの付与を通して、常磁性分子の水車型ルテニウム二核(II, II)金属錯体の磁気モーメントとの間に磁気的な相互作用を発生させることで、放電前に常磁性であった化合物を磁石に変えることに成功した。

リチウムイオン電池を用いた人工的な磁石創出の概念図。電池の放電により、リチウムイオン(黄)と電子(緑)が同時に正極物質に導入される。電子は電子受容体分子のTCNQ誘導体に選択的に注入され、磁気モーメント(赤矢印)が発生した結果、物質全体が磁石となる

さらに今回の研究では、化合物が磁石となる磁気相転移温度は、放電電位に応じて変化することが見出された。この変化は、化合物に注入される電子量に応じて、磁気モーメントを持つTCNQ誘導体の数が増減することに対応づけられるという。

同研究グループは今回の成果について、今回の研究で扱った化合物に限らず、より広い物質群に対して適用可能であり、新しい分子磁石の設計・構築法として有用であると説明している。



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