NVIDIA、空飛ぶ人工知能を実現するGPU組み込みモジュールの国内提供を開始

 

NVIDIAは3月1日、GPU搭載組み込みシステムモジュール「Jetson TX1」の開発キットの国内提供を3月中旬から開始することを明らかにした。

同モジュールは、Maxwellアーキテクチャの256コアGPUを搭載することで、前世代となるKeplerアーキテクチャ採用モジュール「Jetson TK1」の2倍以上の処理性能となる1TFLOPSを実現している。また、CPUとしてARM Cortex-A57(4コア)、メモリとして4GB LPDDR4、ストレージとして16GBのeMMC、IEEE 802.11acやBluetoothなどの無線ネットワーク、ギガビットイーサネットなどにも対応しつつ、50mm×87mmの基板サイズを実現しており、400ピンのSamtec製コネクタを利用することで、キャリアボードとの接続を行う。

Jetson TX1モジュールの仕様

NVIDIAにて、ロボットやドローンなどの自律機器向けプラットフォームを担当するプロダクト・マネージャーであるジェシー・クレイトン(Jesse Clayton)氏は、「ドローンや次世代IoT機器などを考えた場合、機器そのものが自律した思考能力を持ち、自身が何かを見て、その情報を認識し、場所の特定や状況の把握、物体の識別などを実現する必要がある。そうしたニーズの実現にはディープラーニングの発達が重要で、現在、実際にそうした課題を解決できるまでに発達してきている」とし、そうした膨大な演算処理をクライアント機器で実現することを可能とするモジュールが「Jetson TX1」である、とする。

Jetson TX1についての説明を行うジェシー・クレイトン氏。手にしているのがJetson TX1モジュール。右の画像はモジュール裏面に用意されている400ピンコネクタ

リアルタイムで発生する多量のデータを、通信網を介してデータセンターで処理し、より高度な判断を行い、それをフィードバックする、といった手法も考えられるが、早くても数百msの遅延が生じることから、高速で移動するドローンなどでは、その遅延によって障害物にぶつかる、といったことも起きかねない。また、インテルのような汎用プロセッサを用いる場合は、演算性能が高い製品は消費電力も高く、バッテリーや冷却機構の大型化につながり、重量の増加やペイロードの減少といった問題が生じる。「Jetson TX1は、そうした電力やパフォーマンスの両立を図り、自律型機器での活用に最適化を図ることを目的に開発されたモジュール」(クレイトン氏)とのことで、エネルギー効率(image/sec/Watt)はIntel Core i7-6700Kと比べて10倍高いとする。

GPUを用いたディープラーニングの流れ。対象とする物体が何であるのかを「学習」させる部分はワークステーションやスーパーコンピュータなどのHPCを活用して行い、そうして得られた学習情報をJetson TX1を用いたクライアント機器での「推論」に活用して、インテリジェントを持たせる。もし、推論側で見たことがない情報が発生した場合は、改めて学習を行い、その再学習の結果を推論側で得ることで、より高いインテリジェントへと進化させていくといったものとなる

Jetson TX1はチップではなくモジュールレベルでの販売が行われるが、実際に開発を行う場合は開発キットを用いてプロトタイピングなどが行われることとなる。キットの内容としては、開発ボードのほか、ACアダプタ、電源コード、USBケーブル、クイックスタートガイドなどが含まれている。国内での提供はBtoB向けには菱洋エレクトロが、BtoC向けにはオリオスペックがそれぞれ代理店となっており、価格も3月1日時点のオリオスペックのWebサイトでは9万3798円(製品の発売日は4月8日を予定)となっている。

Jetson TX1モジュールを搭載した開発ボード

また、Jetson TX1の開発環境を整備することを目的に、台湾アバーメディア・テクノロジーズ(AVerMedia TECHNOLOGIES)が、HDMI入力可能なミニPCI Expressのキャプチャーカード「C353シリーズ」のドライバーを2016年の夏ごろをめどにJetson TX1に対応させる予定であることも明らかにしている。これにより、Jetson TX1にHDMIを介した高画質映像を取り込むことが容易となり、リアルタイムでの映像解析処理の開発効率を向上させることが可能になるほか、ディープラーニング分野においても、静止画のみならず、映像を利用した分析を容易に実現することが可能になるという。

Jetson TX1開発プラットフォームとして、各種のツールやライブラリ、OSなども提供されている

なお、Jetson TX1を搭載した産業用自律型ドローンのプロトタイプ開発を進めているエンルートのイェン・カイ(Yan Kai)開発部長は、「Jetson TX1は10Wという消費電力の枠内ではトップクラスの処理性能を有しているが、それ以上に、CUDAのエコシステムを活用して開発することができる点が大きい」とするほか、CUDAが抱えるエンジニアコミュニティについても、ドローン関係だけでも6000名が所属しており、そうしたエンジニアの知見を活用することも開発効率向上に役立っているとする。また、「モジュールでの提供も、自社で搭載基板を開発する手間を省くことができるほか、産業用途で特有のほこりや水といった過酷な環境要因での作業の後に、モジュールごとの交換を行うことで、素早く次のミッション移ることができる」といった、運用面でのメリットもあることを強調。Jetson TX1が自律型ドローンを実現する上でのラストピースになるとした。

エンルートが開発を進めている産業用自律飛行型ドローン。中心にJetson TX1モジュールを搭載するキャリアボードが設置されている

なお、Jetson TX1の開発キットは3月中旬からの提供開始ではあるものの、Jetson TX1モジュールに関しては2016年上半期中の国内提供が予定されているという。

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