がん幹細胞の抑制物質をトチュウから発見 横浜市大と茨城大グループ

 

横浜市立大学大学院医学研究科の梁明秀(りょう あきひで)教授と茨城大学農学部の鈴木義人(すずき よしひと)教授らの研究グループがこのほど、がん幹細胞の増殖を抑制する物質を中国原産の植物「トチュウ」から見つけた。がん幹細胞は、がん細胞を生み出すもとになる細胞で、抗がん剤や放射線が効きにくく、重要ながん研究課題だった。新しいタイプの薬剤開発につながる成果と期待される。

がんは、遺伝子に異常が生じて正常細胞ががん化し増殖すると考えられている。最近の研究で、さまざまな細胞になり自己複製能力を持つがん幹細胞の存在が注目されているが、がん細胞の中に極めて微量しか存在せず発見が難しい。また、抗がん剤が排出されてしまうために治療後も転移や再発の原因と指摘されている。がん幹細胞の研究に必要な量を確保することも課題だったが、梁教授は2014年、多能性幹細胞(iPS細胞)技術を使ってヒト乳腺上皮細胞から人工がん幹細胞を大量培養することに成功した。

研究グループは今回、大量の人工がん幹細胞を使ってさまざまな薬剤や物質を対象にがん幹細胞の増殖を抑える物質を探した。この研究の中で漢方薬の原料であるトチュウに含まれるフラボノイドに抗腫瘍作用があることに着目。詳しく調べた結果、トチュウの緑葉成分にがん幹細胞の増殖を抑制する物質を発見した。これまで存在が知られていなかった新しい化合物で、構造を解明した上で「ユーコミシンA」と名付けた。

トチュウの樹皮は「杜(と)仲」という生薬として、若葉はお茶の原料として、それぞれ使われている。

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