理科大ら、植物を短時間で透明化する手法「TOMEI」を開発 - イネなら数時間

周藤瞳美  [2016/03/01]

東京理科大学(理科大)、熊本大学、奈良先端科学技術大学院大学、科学技術振興機構は3月1日、作物を短時間で透明化する手法「TOMEI(Transparent plant Organ MEthod for Imaging)」の開発に成功したと発表した。

同成果は、東京理科大学 理工学部 応用生物科学科 松永幸大 教授、大学院博士課程2年 長谷川淳子氏、熊本大学大学院 自然科学研究科 澤進一郎 教授、奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 相田光宏 特任准教授らの研究グループによるもので、2月29日付けの日本植物生理学会誌「Plant and Cell Physiology」電子版に掲載された。

植物細胞は細胞壁を持ち、葉緑体や色素を蓄積した液胞などを含んでいる。植物においては、この植物細胞が何層にも連なって組織や器官が形成されているため、光が透過できない内部の細胞や構造を解析するためには、多大な時間と労力をかけて薄い切片を作製する必要があった。近年、この問題を解決するために、組織や器官の構造を維持したまま、植物の内部構造を解析できる手法の開発が進められている。

今回開発された同手法では、主に無毒性のチオジエタノール溶液を使用するため、複数の溶液を組み合わせた複雑な作業工程を省いて透明化することができる。たとえば、短くても2~3日かかる透明シロイヌナズナの作製が、2時間に短縮できる。また、長時間処理による形態変化や含有物質の劣化・消失も防ぐことが可能。

また、3次元的に蛍光像を取得できるコンフォーカル顕微鏡では、通常約30µmの深度までしか蛍光像を得られないが、同手法を組み合わせた場合、200µm以上の深度まで蛍光像を取得でき、維管束や光合成を行う葉肉組織の構造でも容易に観察できるようになる。

さらにこのメリットを生かし、DNAと細胞膜を染める蛍光色素による染色、もしくは細胞核と細胞膜において発現する蛍光タンパク質と組み合わせることで、器官深部の細胞のDNA量と細胞の大きさを定量解析することができる。具体的な応用例として、同定量解析により、線虫が感染した根に形成された根瘤の深部にある巨大細胞は、DNA量と相関して細胞体積が増大することが明らかになっている。

同研究グループは今回の成果について、作物の細胞数や細胞体積を定量することによるバイオマスの評価、作物の内部構造に基づいた品種選抜や品種改良、作物内部に寄生している害虫の非破壊的検出など、農作物の解析・評価・定量に貢献することが期待されるとしている。

透明イネの葉は、切片を作製することなく無傷のまま表面から内部まですべての細胞を解析することができる



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