仕事や私生活でストレスがたまると、つい"愚痴"を吐き出したくなりますよね。そんな時手軽なのが、SNS。スマホからすぐに投稿できるから、突発的につぶやいてしまいがちです。でも…… これってそもそもストレス解消になっているの? 精神科医の片田珠美さんに伺いました。

「結論から言うと、ストレス解消になっていると思います。ストレスは、誰もが感じるもの。押し殺してため込んでしまうと、心身に影響を及ぼしたり、ある日突然爆発してしまったりと、取り返しのつかない事態にもなりえます。なので、定期的に吐き出すことは大切だと思いますよ。ペースは、一日一回くらいが望ましいでしょう。SNS上なら、"アノニマスな他者"が必ず見てくれているので、『話を聞いてもらえた』という安心感にもつながりますからね」

一番の理想は、"信頼できる相手に聞いてもらうこと"なのだそうですが、そういう相手が必ずしもいるわけではないし、いたとしても常に側で話を聞いてくれるわけではありません。SNSへの投稿という方法は、そういう意味でも愚痴を吐き出しやすいのかもしれませんね。

SNSに愚痴を吐き出せば、自分のストレスの原因に気づけるかも

「人は、ストレスを感じても、具体的に『何にイライラしたり、モヤッとしたりしたのか』まで分かってないことが意外と多い。頭を整理することで、その原因に気づくかもしれないし、『じゃあ、どうすればそうならなくなるのか』という改善点も見つかるかもしれません」

しかも、投稿したものは記録に残ります。過去にさかのぼれば「私、こういう時にストレスを感じやすいのかも」といった傾向をつかむキッカケになるとか。過去の投稿を見ると、イライラがぶり返したり更に落ち込んだりする可能性もありますが…… 「『この時も辛かったけど、乗り越えられたんだよな』ととらえて、うまく付き合いましょう」と片田さん。この意識が定着すれば、ひと回り成長できそうですね。

感情的な投稿はもちろんNG! 大きなリスクがあることも理解して

「当たり前ですが、SNSに投稿した内容は世界中の人が見られます。社名や実名を特定できるような投稿をしてしまうと、大きな問題に発展しかねませんよ。アノニマスな他者は、全員が自分の味方とは限らない。愚痴によってあなたの印象が悪くなることや、悪意のある他者に面白がって拡散されてしまうこともあるでしょう。また、時に傷口に塩を塗るような返信をされてしまう可能性だってあることを心に留めておきましょう」

感情のおもむくままに書き込むのは危険! 投稿する前に一呼吸置いて「本当に世界に発信していい内容なのか」をよく考えましょう。

リスクを考えると、非公開設定のSNSに投稿するなど、誰にも見られないような状態にするのが◎。とにかく、書くことによって気持ちを整理したり記録に残したりするのはストレス解消に有効だそうですよ。自分に合った方法を活用して、ストレスをうまくコントロールしてみませんか?


片田珠美
精神科医。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学で精神分析を学ぶ。著書に『怒れない人は損をする! 人生を好転させる上手な怒りの伝え方』(新潮社)、『賢く「言い返す」技術』(三笠書房)などがある。

(松本まゆげ+ノオト)

※この記事はシゴトサプリより提供を受けています