日本IBMは2月24日、金融とテクノロジーを組み合わせた新たな金融サービスを実現するフィンテック(FinTech)への取り組みの一環として、オープンかつ汎用的な「FinTech 共通API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)」を銀行向けに提供を開始した。

現在、多くのFinTechサービスは画面情報のやりとりで銀行システムとの連携に加え、利用者がインターネットバンキングのIDとパスワードをFinTechサービスに登録することで、銀行取引データとの連携を図っている。そのため、FinTechサービスとの連携においては、銀行システムの仕様変更への迅速な対応、セキュリティの確実性、アプリケーション開発の生産性といった課題があるという。

FinTech 共通APIは、FinTechサービスと既存のインターネットバンキングをアプリケーション間で接続し、残高照会、入出金明細照会、口座情報照会といったインタフェースを含むAPI群。また、APIの標準化を推進している「BIAN(Banking Industry Architecture Network)」の仕様に基づいており、オープンかつ汎用的な点が特徴。

同APIを利用した場合、画面情報のやりとりではなくアプリケーション間を接続するため、銀行側の画面変更にFinTechサービスが即座に対応できずエラーが発生するといったことがなくなり、利用者の利便性が向上するという。また、FinTechサービスと各銀行のサービスとのインタフェースを個別に設計する必要がなくなり、開発に要する時間とコストを削減できるとしている。

セキュリティについては、オープンな認証プロトコル「OAuth」により、利用者のIDやパスワードを銀行が認証したうえで、FinTechサービスの利用を許可する仕組みとなり、セキュリティーが強化される。IBMのAPI作成・管理・運用ソフトウェア「IBM API Connect 」と「IBM DataPower Gateway」により、提供されるオープンな認証プロトコル「OAuth」と連携し、強固なセキュリティを実現しているという。

さらに、銀行が新たなFinTechサービスを容易に試せるテスト用APIとして「チャレンジ・スタブ」やFinTechアプリケーションのデータを各銀行向けのデータに変換する機能「データ・マッピング」も提供するとしている。