オスのマウスは他のマウスの性行動を見たがる - 慶大と麻布大

 

慶應義塾大学(慶大)と麻布大学(麻布大)は2月23日、オスのマウスが他のマウスの性行動のビデオを見たがることを実験で確認したと発表した。

同成果は、應義塾大学 渡辺茂慶 名誉教授および麻布大学 獣医学部 菊水健史 教授らの研究グループによるもので、1月22日付けの独科学誌「Animal Cognition」オンライン版に掲載された。

今回の研究では、C57BL6という系統のオスマウスに対し、選好実験と弁別実験が行われた。選好実験では、赤外線で動物の位置がわかる実験箱を使い、ipodが固定された左右の区画において、「中性行動」(2個体が一緒にいる)、「性行動」、「闘争行動」のビデオを再生。「性行動」と「中性行動」、「闘争行動」と「中性行動」、「性行動」と「闘争行動」の組み合わせで15分間、それぞれの区画での滞在時間を調べた。

また、弁別実験では「性行動」と「闘争行動」のビデオを使って、快感が生じるモルヒネを注射してから一方のビデオが見られる区画に入れ、別の日には生理食塩水を注射してから他方のビデオが見られる区画に入れる訓練を行った。これを繰り返した後に、注射なしでどちらの区画にどのくらい滞在するかを調べ、モルヒネと結びついた区画に長く滞在するようになればマウスは2つのビデオが見分けられたということになる。

この結果、マウスは「中性行動」よりは「性行動」、「中性行動」よりは「闘争行動」、そして「性行動」よりは「闘争行動」のビデオが見られる区画に長く滞在することが明らかになった。つまり、マウスは性行動や闘争行動を見ることを好んだことになる。

またモルヒネを使った実験においては、訓練後にモルヒネと結びついたビデオの区画に長く滞在するようになったことから、マウスが「性行動」と「闘争行動」の区別をしていることもわかっている。さらに、弁別訓練後には訓練に使わなかった初見のビデオでもモルヒネと結びついた行動のビデオの方に長く滞在するので「性行動」、「闘争行動」を丸暗記ではなくカテゴリーとして認知していると考えられる。

他個体の闘争は個体間の社会的順位に関する情報を与えるので、マウスは闘争のビデオを見ることによって何らかの利益を得ていると考えられるが、性行動を見ることに直接の利益はない。人間以外の動物ではオスザルがメスザルのお尻を見たがることが報告されているが、これは性行動そのもののビデオではないため、今回の結果は、ヒト以外の動物が他個体の性行動を見ることを好むことを初めて明らかにしたものであるといえる。

なお同実験ではビデオから切り出した静止画でも好みが出たため、動きが必要ではないことがわかった。したがって、今後は加工が容易な静止画像を利用して、好まれる性行動画像としては何が必要なのかを調べていく予定だという。さらに、同研究グループは、メスではどうなるか、未成熟個体ではどうなるかといったことについても調べていくとしている。

マウス実験の様子



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