南極最大の棚氷が5千年前に大崩壊 現在の温度上昇で再び大崩壊の可能性

世界最大の棚氷(たなごおり)である南極のロス棚氷が約5,000年前に大崩壊し、その原因が大気と海洋の温度上昇である可能性が高いことを、東京大学大気海洋研究所と海洋研究開発機構の研究グループが明らかにした。最近、南極では世界の平均気温上昇を大きく超える温度上昇が観測されており、今後ロス棚氷が再び大崩壊して大きな海面上昇をもたらす危険性を示唆する研究成果として注目される。研究論文はこのほど米科学アカデミー紀要に掲載された。

棚氷は、氷床(ひょうしょう)が海洋に張り出した部分で表面が平坦な台地状になっている。ロス棚氷は、南極の太平洋側のロス海の南部を覆う世界最大の棚氷で、氷厚は最大600メートル、面積はフランス本土にほぼ相当する約54万平方キロメートル。南極では、東岸にある「ラーセンA棚氷」が1995年に、「ラーセンB棚氷」が2002年にそれぞれ大崩壊し、大量の氷が融解した。米航空宇宙局(NASA)は、ラーセンB棚氷が20年までに完全に消滅すると予測し、海面上昇が心配されている。ロス棚氷のすべてが崩壊して融解すると世界の海水面が5メートル以上上昇するとされているが、過去の崩壊歴など詳しいことは分かっていなかった。

研究グループは、東大大気海洋研究所の加速器質量分析装置を用いてロス棚氷の年代測定や変動分析を行い、得られたデータを米ライス大学研究グループによるロス棚氷の高精度海底地形データなどと突き合わせて解析した。

その結果、約5,000年前の縄文時代に北海道の3倍以上に相当する約28万平方キロメートルの広さの棚氷が大崩壊していたことが判明。その原因については、南極海から当時の大気や海洋の温度上昇により温暖な海水がロス海周辺に流入した可能性があることが、最新の海洋数値モデルシミュレーションにより分かった、という。

南極の温度については、米オハイオ州立大学などの観測で1958年から2010年までの気温上昇は2.4度で、同期間の世界の平均気温上昇の約3倍と指摘されている。今回の研究結果について研究グループは、ロス棚氷が近い将来大規模で急激な大崩壊を再び起こす可能性がある、としている。

棚氷の大規模崩壊、融解により海面が大きく上昇すると島嶼(しょ)国が存続の危機にひんするほか、日本についても茨城大学の三村信男(みむら のぶお)教授は「30センチの海面上昇で砂浜面積の57%が消失する」と指摘している。

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