【インタビュー】サンフレッチェ広島・森保監督、不変の哲学に加わった経験と自信

 

サンフレッチェ広島を率いる森保監督 [写真]=Getty Images

 2015年の明治安田生命J1リーグで年間王者に輝き、開催国王者として臨んだFIFAクラブワールドカップでは3位に入ったサンフレッチェ広島。チームを率いる森保一監督は、指揮官就任後4年間で3度Jリーグを制覇している。

『サッカーキング』では5年目を迎える2016年シーズン開幕を前に森保監督に話をうかがい、昨季の収穫と今季への意気込みを聞いた。

―――最初に昨年12月に開催され、3位となったクラブW杯についておうかがいします。大会を通じて得られたものをお聞かせください。

森保 クラブW杯の結果は選手個々の自信につながったと思います。また、タイトな日程の中、選手を入れ替えながら戦い、結果3位になれたことは個人だけでなくチームにとっても大きな自信になりました。今年もJリーグとAFCチャンピオンズリーグを並行して戦うハードスケジュールの中で、結果を出していける自信と、シミュレーションにもなりました。シーズンの最後に8試合やったわけですから。

―――ハードスケジュールの中で結果を出した選手をどのような気持ちでご覧になっていましたか。

森保 選手は一生懸命最後まで戦い抜くという姿勢を持ち続けてくれ、チームで連動して戦っているところを見せてくれました。天皇杯は最後に負けてしまいましたが、そこは納得というかよくやってくれたという気持ちではいました。今年の戦いにおいての自信になったと思えた12月の戦いでした。

―――極限に近い状態の中、あれだけの重要な大会を乗り越えられたことはチームとしても大きなことだとおもいます。

森保 はい。おっしゃるとおりです。J1の年間勝ち点1位とセカンドステージの優勝が懸かる11月22日の最終節を戦い、そこから一週間空いてチャンピオンシップの2試合を戦うことが、特に心身ともに消耗する厳しい戦いでした。そういう戦い方をした中で優勝の余韻に浸る時間もあまりなく、クラブW杯に突入して(笑)。でも、世界の舞台で戦えるという喜びを感じながらの戦いでした。相手は大陸王者ばかりなので、そこで勝てたことは非常に大きな自信になったと思います。

 準決勝のリーベル・プレート戦でも、試合中は「リーベルに挑む」とか「勝てるだろう」ではなく、間違いなく「勝てる」と思いながら試合をしていたと思います。それくらい選手が落ち着いてやっていた。チャンスもこちらのほうが多かったですし、リーベルの選手はこちらの守備をこじ開けられなくて焦っていることもわかりました。ピッチ内の選手はもっと感じていたと思います。

 ですから、そこで勝てなかったことがリーベルの強さだと思います。我々のコンディションがそこまで良くなかった状態で、リーベルはその試合だけのためにコンディションを整えてきた。それなのに我々はあれだけできた。サッカーに「たられば」はないので、勝った方が強いのですが、間違いなくやれる手応えを選手たちは持ったと思います。3位決定戦となった広州恒大戦もアジアで一番強いチームが相手で、先制もされましたけど、下を向くことなく我々がやっているサッカーをやり続ければ、最後に逆転ができたり、試合の主導権を持ってやれるという手応えを選手たちは持てたと思います。

―――では今季のお話をお聞かせください。JリーグとACLにおいての具体的な目標は何でしょうか?

森保 社長は全タイトルを狙うと言っていますし、そこに向けてやっていかないといけないと思います。でも、僕が監督になってからの4年間で、3回Jリーグで優勝しましたが、クラブの予算規模などが大きくなったかと言えば、変わっていません。もちろん高みを目指して戦わないといけませんが、これまでの一戦一戦を積み上げたものが高みに向かっていくという基本的なスタンスを忘れてはいけません。一戦一戦大事に勝ち点を積み上げていくことが大切です。

 ACLについては、Jリーグの村井満チェアマンには直接お話させていただいたことですが、去年からJリーグの日程を調整して金曜開催にするなど、ACLの試合前に中3日を取ってくれました。これまではJリーグの日程を全く動かさないようにやっていましたが、いろいろな協議をして、できるだけ選手が良い状態で試合ができるよう、クラブ間とJリーグで融通を利かせていただいて、調整していただけるようにはなりました。アジアでは移動や時差、気候差がありますからね。例えば移動であれば、税関を抜けるまで非常に時間がかかる。

 そういったことも全てわかっていただきたいなと。ヨーロッパのチャンピオンズリーグとACLは比較されます。ヨーロッパのチャンピオンズリーグではグループリーグ突破の場合ならもちろん、1試合勝つだけでも相当な報酬を得られると思いますが、ACLはそうではないと思っています。そういった部分を含め、ACLの価値をクラブが感じてできるような大会になればいいと思います。

―――ACLを戦うことで過密スケジュールとなりますが、Jリーグ勢がACLで好成績を残してくれることは、広島のサポーターはもちろん、他の日本人として嬉しいことです。

森保 Jリーグの代表として、日本のクラブ代表として戦っていることを忘れたことはありません。ACLでもチャンピオンになりたいという思いを持ってやっています。条件的に厳しいところがあるということを関係者の方にはわかっていただけていると思います。でも、負けたら言い訳できないですし、勝っていろんなことを言いたいですね。

―――チームについておうかがいします。広島は補強が的確な印象が定着してきています。新戦力をチームにフィットさせるために意識して取り組まれていることはありますか?

森保 獲得に関しては強化部スカウトティングが担当していることですが、サンフレッチェに合う技術や戦術眼を持っているかということとキャラクターですね。性格がチームのために戦える選手であるかということです。「チームより優先するものはない」というのはサンフレッチェの哲学なので、チーム一丸となって、組織で戦って初めて結果を出せることを考えられるキャラクターを持った選手を取ってきてもらうようにはしています。

 移籍してきた選手をフィットさせるために特別なことはしていませんが、基本コンセプトを明確に提示します。理解してもらうためにコミュニケーションを取ること。あとはトレーニングでしっかり、我々の戦い方を刷り込んでいくことです。それでも足りないところは、さらにコミュニケーションを取り、個別にビデオを見たりしながらプレーについて話してフィードバックをします。

―――チームのマネージメントにおいて、団結力を高めるために一番重視していることはありますか?

森保 「チームより優先するものはない」ということと、サンフレッチェはチーム一丸となって組織力で戦うチームなので、もちろん個が強くなければいけませんが、お互いに支えあってゲームをして結果を出していくことです。

インタビュー・文/八杉裕美子


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