米国、新しい偵察衛星の打ち上げに成功 - レーダー偵察衛星「トパーズ」か

米国のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は2月10日、米国家偵察局(NRO)の衛星「NROL-45」を搭載した、「デルタIV」ロケットの打ち上げに成功した。NROL-45の正体は明らかにされていないが、「トパーズ」と呼ばれるレーダー偵察衛星であると見られている。

ロケットは日本時間2月10日20時40分(太平洋標準時2月10日3時40分)、米カリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ空軍基地の第6発射台から離昇した。飛行の詳細は明らかにされていないが、ULAや米空軍は「打ち上げは成功した」との声明を発表している。

NROL-45を搭載したデルタIVロケットの打ち上げ (C) ULA

NROL-45

NROL-45はNROが運用する衛星で、NROL-45という名前は特定の衛星の種類を表しているのではなく、「NROの衛星の45機目の打ち上げ」ということを意味する。また、打ち上げの順番や数字の割り振りは前後しており、これまでに45機が打ち上げられたというわけでもない。

衛星の詳細は一切明らかにされていないが、ロケットの打ち上げ能力や飛行経路などから、「FIA-R」、もしくは「トパーズ」と呼ばれる偵察衛星ではないかと考えられる。FIA-Rは合成開口レーダーを搭載し、観測地の上空に雲があるときや夜間でも地上の様子を見ることができる。

FIAとは、次世代の偵察衛星を開発する計画「Future Imagery Architecture」の頭文字からとられている。NROは1988年から2005年にかけて「ラクロス」、もしくは「アニクス」と呼ばれる衛星を打ち上げており、FIA-Rはその後継機であると考えられている。NROではもともと、FIA計画の下で、電子光学センサーを搭載する衛星「FIA-O」と合成開口レーダーを搭載する衛星FIA-Rの2種類を開発する計画だったものの、光学衛星の開発が中止され、レーダー衛星のみが残った。

またFIA-Rの正式なコードネームは「トパーズ」であることが、2013年にエドワード・スノーデン氏がザ・ワシントン・ポスト紙にリークした、米国の諜報活動に関する予算書から判明している。この予算書が正しければ、トパーズは全5機が打ち上げられ、その後は「ブロック2」という改良型の打ち上げに移行することとなっている。

ロケットの飛行プロファイルや、衛星が投入された軌道も明らかにされていないが、切り離したタンクなどの落下警戒海域に関する情報から、方位角222度に向けて飛んだことがわかっている。この場合、衛星は赤道面からの傾き(軌道傾斜角)が約123度の、地球の自転に逆行するように回る軌道に入ることになる。トパーズは過去に2010年と2012年、2013年にも1機ずつ打ち上げられたと考えられており、今回の飛行経路とも一致している。

また14日には、アマチュアの衛星ウォッチャーらによって、今回打ち上げられたトパーズと見られる衛星が地上から撮影されており、軌道高度は1000km前後であることがわかっている。これも以前のトパーズと思われる衛星の軌道と一致している。

NROL-45のミッション・パッチ (C) NRO

NROL-45(トパーズ)の前世代機である「ラクロス」(コードネーム「アニクス」) (C) NRO

デルタIVロケット

デルタIVは米国のボーイングが開発したロケットで、同社とロッキード・マーティンによって設立されたULAによって運用されており、主に軍事衛星やNASAなど、米政府系の衛星の打ち上げに使用されている。ブースターの本数やフェアリングの大きさを変えることで多種多様な衛星の打ち上げに対応でき、その中でも第1段機体を3基束ねた「デルタIVヘヴィ」と呼ばれる構成は、現在世界で運用されているロケットの中で最も強力な打ち上げ能力をもっている。

打ち上げ数は今回で31機目で、2004年にデルタIVヘヴィが衛星を予定よりも低い軌道に投入してしまった以外は、安定した打ち上げを続けている。

今回打ち上げに使用されたデルタIVは、デルタIVミディアム+(5,2)と呼ばれる構成で、直径5mの衛星フェアリングと第2段を持ち、2基の固体ロケットモーターを装備している。

また、従来デルタIVの第1段に使われていたRS-68ロケット・エンジンに代わり、改良型のRS-68Aが使用された。RS-68Aはターボ・ポンプやインジェクターが改良されており、RS-68と比べて推力や燃焼効率が向上している。

RS-68Aは2008年から開発が始まり、2011年に完成した。初めて打ち上げで使用されたのは2012年6月29日のデルタIVヘヴィで、今回が3例目、ミディアム+(5,2)構成では初となった。今後はすべてのデルタIVの第1段にRS-68Aが使用される予定となっている。

打ち上げを待つデルタIV (C) ULA

NROL-45を搭載したデルタIVロケットの打ち上げ (C) ULA

【参考】

・United Launch Alliance Successfully Launches NROL-45 Payload for the National Reconnaissance Office - United Launch Alliance
 http://www.ulalaunch.com/ula-successfully-launches-nrol45.aspx
・February 10, 2016 - NROL-45 Launches from Vandenberg, AFB, California
 http://www.nro.gov/news/press/2016/01-16.pdf
・ULA Delta IV launches with NROL-45 | NASASpaceFlight.com
 http://www.nasaspaceflight.com/2016/02/ula-delta-iv-nrol-45-launch/
・Delta IV successfully lifts classified Radar Satellite into Unique Backwards Orbit – Spaceflight101
 http://spaceflight101.com/delta-iv-successfully-lifts-classified-radar-satellite-into-unique-backwards-orbit/
・NROL-45 Satellite – Delta IV – NROL-45 | Spaceflight101
 http://spaceflight101.com/delta-iv-nrol-45/nrol-45-satellite/
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