万雷の拍手を浴びた新スタジアムと18歳DF初瀬亮…G大阪の未来を紡ぐ“2つのデビュー”

  [2016/02/16]

新スタジアムとともにデビューを飾ったG大阪の18歳DF初瀬亮 [写真]=安田健示

 新スタジアムの記念すべき初戦。自分のポジションでキックオフのホイッスルを待っていた18歳の若武者は、天を仰ぎながら自分の胸を二度叩いた。まるで自らを鼓舞するかのように――。

 2月14日に行われたガンバ大阪の新スタジアムこけら落とし。名古屋グランパスとの試合に3万5271人の大観衆を集めた注目の一戦で、市立吹田スタジアムのピッチにユース昇格1年目、東京オリンピック世代の右サイドバックが立っていた。

 初瀬亮、18歳。

 G大阪ユースに在籍していた昨シーズンは第2種トップ可登録選手としてチームに帯同し、天皇杯では準決勝と決勝でベンチ入り。本来は右利きだが、「小学生の頃、中村俊輔選手に憧れて左足ばかり練習していた」(初瀬)こともあって、今では両足で蹴れることが大きな武器となった。

 そんな彼に晴れ舞台で思わぬ出番が巡ってくる。右サイドバックとして先発出場が見込まれたDFオ・ジェソクのコンディションが整わず、前日練習後に長谷川健太監督が決断。初瀬に「明日、行くぞ」と声を掛けた。

 試合前夜は「思ったよりも寝れた」という初瀬だが、やはりピッチに立つと緊張を隠せなくなった。天皇杯をベンチから見ていたとはいえ、自身にとってはトップデビュー戦。しかも、新スタジアムの記念すべき初戦でもある。キックオフ前の円陣が解け、自分のポジションに着いたところで自分の胸を強く二度叩き、気持ちを入れ直した。

「自分の気持ちがフワフワしていたので、『しっかり気合を入れろ!』って自問自答しました。サポーターの皆さんや先輩方も含めて、自分の後ろにいてくれる。だから、『思い切ってやれ!』って」

 初瀬が対峙したプレーヤーはFW永井謙佑。言うまでもなく、J最速のスピードを誇るアタッカーだ。立ち上がりに判断の遅れから永井にボールを奪われてピンチを招いたが、徐々に慣れると果敢なオーバーラップを仕掛けるシーンも見られた。試合終了間際にDF内田達也との交代で退くまで健闘した初瀬に対し、新スタジアムの大観衆からは大きな拍手が送られた。

「こけら落としの試合でデビューできて良かった。あれだけ歓声を受けるのは初めてだったんですけど、試合中は集中しすぎててあまり聞こえなかった。交代する時に自分の名前を呼んでもらって、『自分がやっていたんだな』と改めて思いました。緊張もそこそこありましたし、自分としてはそんなに特徴を出せていないので、まだまだこれから。日本一速い選手がデビュー戦の相手でしたけど、(丹羽)大輝くんを筆頭にみんなが声を掛けてくれて、うまく試合になじめたと思います。このチームでは守備ができないと使ってもらえないので、毎日の練習から一対一のディフェンスを重点的に取り組んでいきたい。その上で自分の武器であるキックを出していきたいと思っています。まずはどちらのサイドでも守備を頑張って、左右両方のサイドバックができることを自分の特徴にしていきたいですね」

 今シーズンもG大阪にはリーグ戦、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)を含む過密日程が待ち受ける。そしてU-23チームがJ3に参戦することも決まっている。

「これからゼロックススーパーカップやACLなどで試合数も多くなるので、自分の出番もどこかであるはず。そこでしっかり結果を出せるように、今日の試合で出た課題を毎日の練習で頑張って、次のチャンスでいいプレーをできるように頑張っていきたい。今シーズンはトップチームとU-23チームがありますけど、トップに絡んでいけるように日々の練習でアピールしていきたいと思っています」

 自らの緊張を理解して気合を入れ直し、時間が経過するごとにチームになじんでいった冷静な姿は心強いばかり。ミックスゾーンでも物怖じせず、自分の立ち居振る舞いを自分の言葉でしっかりと語っていた。待望の新スタジアムがお披露目されたこの日、大きな可能性を持った若きサイドバックがプロとしての第一歩を歩み始めた。G大阪の未来を紡ぐスタジアムと選手のデビューが同時だったという事実を覚えておいても、決して損はないはずだ。

文=青山知雄


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