三菱航空機は2月16日、次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)において、米国の航空機リース会社であるエアロリース社(Aerolease Aviation, LLC)とMRJ90で20機(確定10機、オプション10機)の確定発注に向け、基本合意にいたったことを発表。基本合意が確定すると、2015年1月にJALからの32機以来の確定発注となる。両社は今回の基本合意をもとに、早期に正式契約を目指す。

エアロリース社への納入は2018年に開始される予定

エアロリース社は1986年に設立された米国・フロリダ州に拠点を置く航空機リース会社。40機超のボーイング757型機を保有・管理し、中古の旅客機・貨物機のリースをグローバルに展開している。エアロリース社へのMRJの納入は、2018年に開始される見通しとなっている。三菱航空機にとって、航空機リース会社との基本合意は今回が初めてであり、また、エアロリース社としても新造機の発注は初となる。

今回の基本同意に対しエアロリース社のジェップ・ソーントン代表は、三菱の航空機製造における経験や強固な財務基盤を高く評価した結果としている。MRJに対しても、「MRJが最先端の空力設計と画期的なプラット&ホイニー社製のGTFエンジン、さらにはロックウェルコリンズ社のアビオニクスを組み合わせた優位性のある機体」と評価。今後、MRJのパートナーとしてリージョナルジェット機市場でMRJのカスタマーベースを広げていくとしている。

左から、三菱航空機の森本浩通社長とエアロリース社のジェップ・ソーントン代表

また、三菱航空機の森本浩通社長は、航空機リースが今日の航空機産業において重要な役割を担っていることを認識して活動してきたことに触れつつ、エアロリース社との基本合意に対して「MRJプログラムにおいて重要な意味を持つ」と捉えている見解を述べている。加えて、「今回の基本合意はMRJの資産価値がマーケットで認められた証であり、今後のエアライン向け受注活動にも大きく寄与するものと考えている」とコメントしている。

MRJはこれまでに407機を受注しており、今回のエアロリース社との基本合意が確定すると、MRJの合計受注機数は427機(確定233機、オプション機、オプション170機、購入権24機)となる。なお、リージョナルジェット機市場では今後、20年間でおよそ5,000機の需要が見込まれており、航空会社の導入に加えリースでの需要も伸びが期待されている。

エアロリース社との基本合意が確定すると、MRJの合計受注機数は427機となる

ローンチカスタマーであるANAは、2008年3月に25機(確定15機、オプション10機)を発注。飛行試験機5号機はANAの塗装仕様にて、国内での飛行試験を実施する見通しとなっている。この量産初号機の納入時期は、2015年12月に4度目の延期を発表しており、2017年第2四半期から1年程度先延ばしとなった。また、JALも2015年1月に32機を確定発注しており、JALへの納入は2021年開始を目指している。

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