東京都・六本木の21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン・ガーデン内)は、「雑貨」という文化における、佇まいやデザインの魅力に改めて目を向ける企画展「雑貨展」を開催する。会期は2月26日~6月5日(火曜休館、5月3日は開館)。開館時間は10:00~19:00(4月28日は22:00まで)。入館料は一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。

展覧会メインビジュアル

同展は、「雑貨」をめぐる環境や感性を、世界的にもユニークなひとつの文化として俯瞰し、その佇まいやデザインの魅力に改めて目を向けるもの。日本の高度経済成長期にあたる約半世紀前までは、「雑貨」とは、やかんやほうき、バケツといった「荒物(生活に必須な道具)」を指していた。しかし現在、街中の「雑貨店」の店頭には、グラスやナイフにうつわ、ブラシやスツール、時に食品や化粧品まで、中には用途が分からないモノや実用性を持たないモノなど、従来の「雑貨」のカテゴリーを超えたあらゆるモノを見ることができる。私たちの暮らしのいたるところに、「雑貨」と呼ばれるモノが存在しているものの、その定義は曖昧にして捉えどころがないのが実態となっている。インターネットが普及し、自身の嗜好や感性に馴染むモノがいつでもどこでも自由に入手可能になった現代で、こうした傾向はますます加速し、「雑貨」という概念も広がり続けているという。このような変遷を踏まえ、あえてゆるやかに定義するならば、「雑貨」とは「私たちの日常の生活空間に寄り添い、ささやかな彩りを与えてくれるデザイン」である、と同展では定義しているということだ。

同展ディレクターの深澤直人氏は、同展の開催に際し次のようにコメントしている。「なぜ「雑貨」がこんなに魅力的なのだろう。実際の生活に即役立つかどうかを別にして人はその魅力に引き寄せられ、そのものを自身に取り込みたくなる。高価な骨董品ではない日用品である。しかしその収集することへの渇望はそれぞれ似通っている。デザインやアートや骨董、民藝や工芸とは異なる、魅力を放つもう一つのカテゴリーに「雑貨」というものが登場したように思う。これは常に少し前の時を振り返るノスタルジックな心持ちにも繋がっている。いつも「あれはよかった」という安堵の感情を揺さぶるものではないか。人はモノに疲れているし流れの速い時の移り変わりに戸惑っている。だから「雑貨」は心を落ち着かせてくれる。この魅力を放つモノ、「雑貨」という美学に焦点を当て、共にその魅力を語り合ってみることがこの展覧会の目的である。」

川原真由美「雑マンダラ」(グラフィック:橋詰宗)

松野屋+寺山紀彦(studio note)「荒物行商インスタレーション」(画像:荷車を引く行商 横浜開港資料館所蔵)

藤城成貴「雑貨とデザインの考察」

同展は、生活における雑貨の広がりに着目し、モノのもつ魅力を体感できるよう、多様なテーマで構成されている。一例として、「雑マンダラ」として、「雑」という言葉を含む二字熟語から日本独特の文化や感性を伝える展示や、「荒物行商インスタレーション」として、明治時代に荷車に日用品を積んで販売していた行商の姿を、現代の日用品で再現するインスタレーションや、「雑貨展の雑貨」として、深澤直人と展覧会企画チームの視点で選んだ雑貨の数々の展示が行われる。

参加作家は、青田真也、池田秀紀/伊藤菜衣子(暮らしかた冒険家)、川原真由美、国松遥、小島準矢(Superposition Inc.)、島本塁/玄宇民(CGM)、菅俊一、D&DEPARTMENT、寺山紀彦(studio note)、野本哲平、萩原俊矢、藤城成貴、松野屋、三宅瑠人、フィリップ ワイズベッカー、他。出展者は、岡尾美代子、小林和人(Roundabout, OUTBOUND)、小林 恭・マナ(設計事務所 ima)、 たかはしよしこ(S/S/A/W)、平林奈緒美、ルーカス B.B.(PAPERSKY)、PUEBCO INC.、 保里正人・享子(CINQ, SAML.W ALTZ)、松場登美(群言堂)、森岡督行(森岡書店)、他。

また、関連プログラムとして、雑貨展オープニングイベント(出演:深澤直人、ナガオカケンメイ(D&DEPARTMENT))が2月27日14:00~16:00、トーク「雑貨展企画チームによる雑談」が3月26日14:00~16:00、21_21 DESIGN NIGHT 特別企画「何に着目すべきか」が4月28日18:00~22:00、トーク「欲しいもの、持っているもの」が5月14日14:00~16:00に開催される。他プログラム、参加費・参加方法などは同展Webページにて。