第89回「キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が13日、東京・文京シビックホールで行われ、受賞者の深津絵里、二宮和也、本木雅弘、広瀬すず、篠原篤、橋口亮輔らが出席した。

第89回「キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式に出席した深津絵里

映画誌『キネマ旬報』が主催する「キネマ旬報ベスト・テン」は、今年で89回目の開催。その年を代表する日本映画、外国映画をそれぞれ10本挙げるほか、主演男優賞や主演女優賞、新人男優賞、新人女優賞などを、映画評論家や映画記者らが選出する。

『岸辺の旅』と『寄生獣 完結編』の2作品で主演女優賞を受賞した深津絵里は「このような素晴らしい賞に値するような芝居だとは疑問に思いますが」と謙そんしながら「プロデューサーや監督さん、そしてスタッフさん、ともに戦いに挑んだ共演者の皆さんに心から感謝したいと思います」と笑顔。続けて「特に『岸辺の旅』で夫が浅野忠信さんじゃなければあのような空気感、繊細な表現につながらなかったと思います。浅野さんの底知れぬお力のお陰でこの賞をいただけたと思っています」と共演した浅野に感謝しきりだった。

一方、『母と暮せば』で主演男優賞を受賞した嵐の二宮和也は「自分がこの作品に出る役割は、応援してくれる若い方々に戦争というものを改めて学んでいただける機会をという責務がありました。それがちょっとでも叶い、しかも素晴らしい賞をいただけて本当にうれしく思っています」と喜びの声。本作で共演した吉永小百合については「テレビで見ているパブリックイメージはありましたが、それを遙かに超越していて、どんな人でも同じ対応をしている懐の広さには驚きましたね」と語った。

新人女優賞に輝いたのは、『海街diary』に出演した広瀬すず。「このような大きな舞台に立てることは自分にとって不思議な感覚ですが、日々『海街diary』という思いが強くなってきて、大人になっても是枝裕和監督やお姉ちゃん(共演した綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆)に出会えたことが自分の人生にとって大きいと思っています。これからもお姉ちゃんたちの背中を見ながらこういったところに帰れるように頑張りたいと思います」と更なる活躍に意欲。本作の監督でもある是枝監督とはたまに会う機会があるといい、その度に「ネイルをしたりしているんですけど、『また色気づいちゃって!』とか『大人っぽくなっちゃって!』と言われます(笑)」と明かして会場を湧かせていた。

第89回『キネマ旬報ベスト・テン』受賞者一覧

  • 日本映画作品賞 『恋人たち』(橋口亮輔監督)
  • 外国映画作品賞 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(ジョージ・ミラー監督)
  • 文化映画作品賞 『沖縄 うりずんの雨』(ジャン・ユンカーマン監督)
  • 日本映画監督賞/日本映画脚本賞 橋口亮輔監督(『恋人たち』により)
  • 外国映画監督賞 ジョージ・ミラー監督(『マッドマックス 怒りのデス・ロード』により)
  • 主演男優賞 二宮和也(『母と暮せば』により)
  • 主演女優賞 深津絵里(『岸辺の旅』、『寄生獣 完結編』により)
  • 助演男優賞 本木雅弘(『日本のいちばん長い日』、『天空の蜂』により)
  • 助演女優賞 黒木華(「『母と暮せば』、『幕が上がる』、『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』により)
  • 新人男優賞 篠原篤(『恋人たち』により)
  • 新人女優賞 広瀬すず(『海街diary』により)
  • 読者選出日本映画監督賞 是枝裕和監督(『海街diary』により)
  • 読者選出外国映画監督賞 デイミアン・チャゼル(『セッション』により)
  • キネマ旬報読者賞 川本三郎(キネマ旬報連載『映画を見ればわかること』により)