JR北海道は10日、2014(平成26)年度の線区別の収支状況などに関する資料を同社サイト上で公開した。1月29日の第2回地域公共交通検討会議にて、同社が資料として提供したもので、札幌圏を含む全線区の収支状況が公表されている。

札幌圏の函館本線・千歳線を走る快速「エアポート」

同社は昨年11月の第1回地域公共交通検討会議にて、輸送密度500人未満の線区の収支状況(管理費は含まず)を公表した上で、2014年度は鉄道事業全体で414億円の赤字と説明していた。今回、「他線区の収支状況についても情報開示を求めるご意見を頂いていること」を受け、全線区の収支状況を公表。前回含めなかった管理費(計156億8,400万円)も、「一定の考えに基づき全線区に配分」したという。

函館本線小樽~岩見沢間、千歳線・室蘭本線白石~苫小牧間、札沼線(学園都市線)桑園~北海道医療大学間は「札幌圏」として、ひとまとまりで収支状況が公表されている。札幌圏の営業損益は、管理費を除くと35億5,700万円の黒字だが、管理費も含めると26億6,200万円の赤字に。管理費も含めた営業損益はJR北海道のすべての線区で赤字という収支状況が明らかにされた。

全線区の輸送密度や営業係数(100円の営業収益を得るために必要な営業費用の指数)も公表。2016年度中の鉄道事業廃止が決まった留萌本線留萌~増毛間の輸送密度は39人、管理費も含めた営業係数は4,554。他の輸送密度500人未満の線区のうち、札沼線(学園都市線)北海道医療大学~新十津川間、石勝線新夕張~夕張間、根室本線富良野~新得間、留萌本線深川~留萌間、日高本線苫小牧~様似間で営業係数1,000以上となった。

輸送密度2,000人未満(国鉄時代末期、第1・2次特定地方交通線として廃止・転換対象)の線区は全体の2/3に及び、特急列車が走る宗谷本線・石北本線も全区間で輸送密度2,000人未満(旭川~名寄間1,512人、名寄~稚内間405人、新旭川~上川間1,489人、上川~網走間1,051人)に。なお、札幌圏も線区ごとに輸送密度が公表されており、札沼線(学園都市線)桑園~北海道医療大学間1万6,873人、函館本線札幌~岩見沢間4万3,025人、千歳線・室蘭本線白石~苫小牧間4万3,433人、函館本線小樽~札幌間4万4,099人とされた。

あわせてJR北海道は「極端にご利用の少ない駅」(速報)なども公表している。1日平均の乗車人員が1名以下の駅は58駅、10名以下の駅は101駅あり、全453駅中約3割が「極端にご利用の少ない駅」に。うち8駅は3月26日のダイヤ改正をもって廃止となる。利用者が少ないこれらの駅でも、定期的な巡回や施設の維持管理が行われているという。建物や土木建造物といった施設の老朽化も進んでおり、抜本的な改修・更新に加えて耐震補強も必要で、「経営上の大きな負担」とされている。