米国ニューヨーク州立大学Polytechnic Institute(SUNY Poly:ニュ―ヨーク州Albany)は2月9日(米国時間)、GLOBALFOUNDRIES(GF)と共同で新たにEUVリソグラフィの実用化を目指す研究センター「Advanced Patterning and Productivity Center(APPC)」をSUNY Poly傘下の「Colleges of Nanoscale Science and Engineering(CNSE)」キャンパス内に設置したと発表した。

予算は5億ドルで、5年契約のプログラムにより、EUVリソグラフィの半導体量産導入を促進する。IBMおよび東京エレクトロン(TEL)の2社がすでにこのプログラムに参画することを決めているほか、さらにいくつかの企業が参画見込みで、APPC開設に伴い新たに100人の雇用が生ずるという。APPC会員企業は、CNSEキャンパス内のリソグラフィのインフラ(成膜、エッチング、クリーントラック、露光などの各装置)にアクセスする権利が与えられる。

APPCの目的はEUVリソグラフィの量産適用技術の開発を促進することだが、 あらたにオランダASMLの最新型300mm EUVリソグラフィ装置を導入し、7nmおよびそれ以降のプロセス技術を開発することになる。CNSEキャンパス(NonoFab X ビル内)には、すでに ASMLのEUV露光装置「NXE:3300B」が設置されているが、おもにIBMが次世代デバイス開発に使用しているため、新たに2台目のEUV露光装置が導入されることになる。

研究センターは、マスクや材料サプライヤとともにパターニングプロセスの基礎研究を通じてEUVリソグラフィの可能性を広げる。ニューヨーク州MaltaにあるGLOBALFOUNDRIESのFab8で先端製品を製造する準備の一環としてEUV装置の生産能力(スル―プット)を向上させる研究はGLOBALFOUNDRTESが担当する。

GLOBALFOUNDRIESのCTOで研究開発担当上席副社長のGARY PATTON氏は、今回の発表に際して「当社は半導体技術の限界を次々と打破するための積極的なロードマップに沿って研究開発を行っていく。GFはIBMマイクロエレクトロニクス(IBMの半導体部門)を買収したことにより、IBMが引き続き行っている世界最先端の半導体研究に直接アクセスできるようになり、先端プロセス開発のスピードが向上している。今回、SUNY Pplyとともに、新たなセンターを立ち上げることで、プロセス加工寸法を7nmおよびその先へ進めることが可能になる」とコメントしている。

また、TELの半導体製造装置開発部門シニアVP兼ゼネラルマネージャーであるGishi Chung氏は「新たな研究センターはEUVリソグラフィ装置の実用化を求める需要の高まりにこたえる時機を得たものである。SUNY Polyおよび業界のリーダーたちと半導体プロセス技術のイノベーションを推進するために協業できることを誇りに思う」とコメントしている。

なお、この産官学パートナーシップは、ニューヨーク州を次世代コンピュータ・チップ研究開発の世界の中心にしようと意気込む同州Cuomo知事の指導のもとで実現したとニューヨーク州政府およびSUNY Polyは強調している。