山形県新庄市が「LINE」で子育て相談に応じるサービスを開始

山形県新庄市は2月9日、無料通信アプリ「LINE」を利用した子育て相談のサービスを開始した。市によれば、自治体が「LINE」で個別に相談にのるサービスを行うのは、全国で始めてとのこと。利用可能な時間帯は午前10時~午後6時となっている(水曜日、年末年始を除く)。

相談の垣根を低くしたい

今回のサービスは、新庄市の「地域子育て支援センター」が運営するもの。同センターのアカウントを友達に追加すると、保育士資格を持つスタッフが「トーク」のやりとりを通じて子育ての相談にのってくれる。

なぜこのようなサービスを行おうと考えたのか。担当者によれば、「核家族化が進み、周囲に相談できる人が少なくなっている中で、相談の垣根を低くしたかった」とのことだ。さらに、同市が実施した「新庄市まちづくり市民アンケート調査」(平成27年度)によれば、約7割の人が「子育ての相談・支援体制の充実が重要」と回答。一方で満足度については約2割にとどまっていて、対応が急務だった。

同市はこれまでも、3歳児健診時や児童センターなどへの訪問、それに電話でのやりとりを通じて子育ての相談に応じてきた。しかし「足を運んで」もらうことが、相談にたどり着くまでのハードルになっていた。同市はSNSの活用で、そのハードルが解消できると考えたのだ。

情報発信やイベント参加呼びかけも

しかし、数あるSNSの中でなぜ「LINE」のアプリを選んだのか。それは、多くの子育て世帯が利用していることに加え、同じタイムライン上で「公開したい情報」の提供と、「非公開」のやりとりが両方できるからだという。市では相談サービスに加え、センターが開催する子育て関連のイベント情報なども発信していく予定とのことだ。

一方で、「LINE」上の相談のやりとりだけで、子育ての悩みは解決されるのかという疑問も残る。この問いについては「『LINE』での相談を、次のアクションにつなげる運用をしたい」と語った。やりとりの中で心配な点があれば、電話番号を伝えて電話での相談に切り替えることも検討している。本人が望めば、もちろん対面での相談につなげいくこともできる。最終的には「育児の講習など、イベントの参加につなげたい」と担当者は語った。

子育て中の悩みやつらさはあっても、「相談しに行くほどのことではない」と思ってしまうこともあるのではないだろうか。今回のサービスがそのような小さなSOSを捉え、支援につなげていけるような取り組みになることを願いたい。