「保育園ふやし隊@杉並」が「3歳の壁」についてのアンケート調査を実施

東京都杉並区の保育園待機児童問題に取り組む保護者の集まり「保育園ふやし隊@杉並」は2月5日、「3歳の壁」についての保護者アンケート結果を発表した。対象は現在または過去に、2歳までしか預けられない保育施設を利用したことがある保護者(未就学児の子どもを持つ)。同アンケートは、2015年11月18日~12月31日の期間にインターネット上で行われ、63名から回答を得ている。

入園決まらない子ども、約2,000名

現在都内では、続々と2016年4月入園の認可保育所申し込み状況が発表されている。同団体によれば、杉並区の発表では区内での入園申込者数が3,797名(第1次)。一方、入園可能数は1,943名となっていて、その差は1,978名となっている。

同団体は「環境のよさや利便性などから、共働きの子育て世代の流入が続き、保育需要が増加したことが多くの待機児童を生むことになっていると推察される」と指摘。その上で、「これに対する保育施設は不足しています」とコメントした。

さらに課題としてあげているのが、「3歳の壁」問題だ。「3歳の壁」とは、2歳までの受け入れを行っている保育施設を利用していた保護者が、3歳以降の預け先を再び探す際に困難をきたす状況のことを指す。同団体は、同区が「0~2歳までの児童を多く保育する保育施設の増設に力を入れてきた」と評価した一方で、「3歳以降は幼稚園という選択肢もある」と想定していた区と、「3歳以降も継続して認可保育所での保育を望む」という保護者の意識に隔たりがあったと指摘。「3歳からの行き場を失う児童が出る可能性があります」と主張した。

84%が「3歳以降も認可保育所を利用したい」

「3歳の壁」問題が今後の待機児童問題や、少子化問題にも大きな影響を与えるとした同団体。実態を調査するために、2歳までの受け入れをしている保育施設の利用者(現在または過去)を対象にしたアンケートを実施し、2月5日に公表した。

はじめに保育園増加の実感について尋ねると67%が「少し増えてきているがまだまだ足りない」と回答。「全く増えていない」と答えた人も25%いた。次に3歳以降の預け先に不安があるか(あったか)聞いた。結果、59%が「かなりある」と回答。次いで「少しある」(24%)、「不安で眠れないくらいだ」(13%)が続いている。

また「3歳以前の預け先」についても調査したところ、最も多かったのは「区立保育室」で31%。2位は「認証保育所」(24%)となった。一方で、3歳以降の預け先についてどの施設を希望するか(希望したか)については、「認可保育所」が84%を占めている。

「仕事はやめざるを得ない」「保活続けるのが苦しい」

アンケートでは、認可保育所に入れない場合、仕事にどんな影響があるかという質問もしていて、28%が「仕事は続けられるが、延長がきかないので時短のまま働かざるを得ない」、19%が「今の仕事はやめざるを得ず、再就職も厳しい」(19%)と答えている。

さらに働きながらの保活については、「希望の園に入れなかった場合、来年も保活をしなければならないと思うとつらい」(49%)、「認可以外の施設では3歳以上の人数が激減するケースもあり、年齢に応じた団体行動が学べるか不安」(44%)、「有給休暇が思うようにとれず、見学に行きにくい」(36%)という回答が上位に入っている。

ほかにも、3歳以降の保育についても求めることとして、「保育室等、2歳までの保育が確保された人たちが全員、3歳以降は認可に入れるという仕組みを作ってほしいです」「3歳以降の定員が確保されていればいいというわけではなく、転園しなければならない子どもの負担も考えてほしい」「1歳からずっと保活し続けていて苦しい」などの声が寄せられた。

同団体はこれらの結果を受けて、「3歳以降の認可保育所の受け入れ枠を増やすとともに、認可保育所への入所を可能とする連携システムを確立すべき」と訴えている。行政には待機児童や「3歳の壁」における実態を受け止め、保育環境の整備につとめてほしい。