西日本鉄道は4日、天神大牟田線に新型車両9000形を導入すると発表した。既存の3000形をベースとした通勤型車両で、現在の主力車両5000形との代替を計画している。川崎重工業も同日、新型車両9000形18両を受注したと発表した。

新型車両9000形の外観イメージ(画像はすべて西日本鉄道提供)

新型車両9000形は2016年度に4編成10両(3両固定編成・2両固定編成を2編成ずつ)を導入し、2017年3月から運行開始する予定。2017年度も3編成8両(3両固定編成を2編成、2両固定編成を1編成)を導入する。おもに天神大牟田線の急行・普通で運用される。

車体はステンレス製で片側3ドア。西鉄の歴代車両でも多く使用されている赤帯をモチーフに、ロイヤルレッドの帯を車体側面に配置した。車体前面は貫通扉をカラーリングの機軸とし、縦のラインを強調。「"赤帯"のDNAを継承しつつ、前に進む力強さと次世代車両としての新しさを表現」した外観デザインとなっている。

車内は既存車両5000形と同じくロングシートを採用し、白を基調とした明るく清潔感のある色調に。1人あたりの座席占有幅は470mmに拡大(5000形は450mm)され、スタンションポール(縦手すり)も増設された。座席横の仕切り部や連結部分の扉など各部にガラスを取り入れ、見通しの良い開放的な車内環境としている。バリアフリー設備も拡充され、車いす・ベビーカー用の優先スペースが全車両に1カ所ずつ設けられる。

車内のドア上部には車内案内表示器が2画面設置され、路線案内・駅設備案内や車内広告などの情報を提供。4カ国語(日・英・中・韓)の案内も行われる。車内照明をはじめ、すべての照明装置をLED化し、車体前面・側面の車外行先表示器もフルカラーLEDに。主要な電気機器(車両制御装置・補助電源装置)に次世代半導体素子「SiC」を適用したインバータを採用するなど、既存車両よりさらなる省エネルギー化を図っている。

新型車両9000形の車内。車内案内表示器で路線案内・駅設備案内などの情報提供も行う

新型車両9000形は川崎重工の兵庫工場(神戸市)で製造される。川崎重工によれば、西日本鉄道の前身会社である九州電気軌道が開業した1911(明治44)年に1形車両を納入して以来、長きにわたって車両を供給してきたという。9000形によって置き換えられる5000形、9000形のベースとなった3000形も同社が納入している。