政府補助の事業所内保育所、本当にニーズはあるのか

政府が整備を進める「事業所内保育所」は、本当にニーズがあるのか

政府が整備を進めている「事業所内保育所」。平成27年度からは従業員以外の子どもを受け入れるなどの条件付きで、国から給付金が支給される制度が導入。さらに、次年度の予算案の中にも、企業が保育施設を整備するための補助金が新たに盛り込まれている。

しかし、子どもを預ける立場の親にとって、本当にニーズがある施設なのか。託児付きサービスを提供している「ここるく」の代表取締役で、保活事情に詳しい山下真実さんに伺った。

企業が設ける保育施設で約5万人の受け皿を確保

事業所内保育所とは、企業が主体となって開設する従業員向け託児所のこと。国は平成27年度から、従業員以外の子どもにも保育を提供する事業所内保育所に対し、市町村の認可事業として財政支援を行っている。

さらに、平成28年度の予算案には「企業主導型保育事業」と呼ばれる取り組みにも補助金が投入されている。この制度は、市区町村の関与なく、1つもしくは複数の企業が企業内やその周辺などに保育施設を設置した場合、整備費や改修費、賃借料などを国が支援するというもの。利用日数や時間帯、それに地域枠なども自由に設定できる。政府は「事業所内保育を主軸とした企業主導型の多様な就労形態に対応したい」として、これにより、約5万人分の保育の受け皿を確保したい考えだ。

会社の近くは一見便利そうだけど……

ますます整備が推進されている事業所内保育所。果たして子どもを育てる親にとってニーズの高い施設と言えるのか。山下さんによれば、働く女性に対してコンサルティングを行う中で、出産・育児を経験していない女性からは、将来的に「利用したい」という声が多く聞かれるという。一方で、双方を経験した女性では「できれば利用したくない」という意見が大半を占める。

それはどうしてか。事業所内保育所は、都心の企業の中、もしくは周辺に開所されていることが多い。出産・育児を経験している女性は、通勤ラッシュの中、子どもを保育所に通わせるのは厳しいという現実が容易に想像できるからだという。「預け先がないよりは、あった方がいいという回答になると思う」とした上で、企業のある都心ではなく、「ベッドタウンのような場所に保育所を設けるというのが賢い手なのではないか」と提言した。

自分の目で見極めを

しかし、デメリットばかりではないと山下さんは続ける。メリットとしてあげられるのが、子どもが熱を出したとき、または災害が起きたとき、すぐに駆けつけられることだ。「震災の時には、子どものお迎えが地震の翌日になってしまった人もいた」という。特に勤務先と自宅が離れている人にとっては、働いている場所の近くに子どもがいるのは大きな安心材料となるだろう。

山下さんは最後に、「どんな形態の保育所であっても、保育の質を親の目でしっかり見極めることが大切だ」とアドバイスしてくれた。厚生労働省では平成29年度末までに50万人分の保育の受け皿を確保していく方針で、今後も保育所の数は増えていくだろう。事業所内保育所をはじめ、認可保育所や認証保育所など、さまざまな形態の保育所が整備されていく中で、大事なのはその形態ではなく、保育の中身。自分たちの生活や働き方にあった保育施設をぜひとも選んでほしい。

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