(左から)綾辻行人、朝霧カフカ、京極夏彦。

「文豪ストレイドッグス」の原作者・朝霧カフカが自ら執筆した小説「文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS.京極夏彦」の発売記念トークショーが、去る2月3日にアニメイト新宿にて行われた。

ヤングエース(KADOKAWA)にて連載中の「文豪ストレイドッグス」は、中島敦、太宰治、与謝野晶子ら実在する文豪をモチーフとした探偵たちが繰り広げる異能力バトルアクション。4月よりTOKYO MXほかにてアニメの放送も控えている。綾辻行人、京極夏彦、辻村深月といった現役の小説家をモデルにした登場人物たちが活躍する外伝小説は、殺人探偵・綾辻行人と妖術師・京極夏彦の命がけの戦いが展開される。

会場には朝霧、綾辻、京極の3人が登場。大先輩2人を前に緊張した様子を見せた朝霧が「『文豪ストレイドッグス』の原作者と、小説の著者をさせていただきました朝霧カフカです」と挨拶すると、すかさず綾辻と京極から「『著者をさせていただきました』はないだろ」とつっこまれる。綾辻は開口一番「僕は存命です」、京極は「没後30年を迎えます京極です」と話し観客を笑わせた。京極は続けて「正確には僕がモデルというわけではない。(朝霧に向かって)僕を直接知りませんもんね。僕のイメージがモデル」と語るも、綾辻から「(小説の)まんまじゃん」とサラリ。和気あいあいとした雰囲気でトークショーはスタートした。

次に朝霧はこの小説が生まれた経緯を「綾辻先生から『文豪ストレイドッグス』2巻の帯に推薦コメントをいただいたんです。そこで綾辻先生をキャラ化しようということで、作画の春河35先生がイラストを描き、能力を決め、それが帯に掲載されました。3巻には京極先生から推薦コメントをいただけるということで、京極先生もキャラ化」「そのあと2人の対決している話が見たいというお声を聞いて、ポスターになりました。これが好評だったので、小説にしてみようかと」と説明。

能力「憑き物落とし」を使う妖術師・京極夏彦というキャラが生まれたことに関し、もともと「文スト」を読んでいたという京極は「『推薦してくれないか』と言われて『いいですよ』と言ったんですけど、何に対して許諾をしたのか……。僕の認識と、依頼した方の認識に大きな齟齬があった可能性がある。だいたいKADOKAWAから僕は色物扱いされている」と冗談めかして答えた。

外伝小説を読んだ感想を問われると、「クソみたいな作品だったらこんなに和やかに喋れていない」と綾辻。「ちゃんとしたミステリーになってて、最後のどんでん返しも素晴らしい」と絶賛した。京極も「面白かった。辻村さんがどうやって出てくるのかと思ったら、見事だった」と頷く。

朝霧は綾辻と京極とこの日が初対面だという。綾辻が「面識がなくてよく書けたね」と話すと、「太宰治とも面識はないので(笑)。(綾辻や京極と)面識がないことが逆によかった」と朝霧。京極も「会ったことあるとキャラに手心が加えられますからね」と同意した。また綾辻は「京極さんと僕でよかった。僕らは仲がいいからね。リアルに“VS.”な作家同士だったら大変だった」と意味深なコメントを残した。

締めの挨拶で朝霧は、外伝小説の重版が決定したことを観客に報告し「これはもう2巻だな、と」と続編に意欲をみせる。続けて「2016年は『文豪ストレイドッグス』の年になる。今年は注目していただくと、1年間楽しんでいただけると思います」と呼びかけ、トークショーは幕を閉じた。