トリプル・ダブリュー・ジャパンは2月3日、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と共同で、排泄予知ウェアラブルデバイス「DFree」を用いた排泄ケア支援システムのトライアルを実施したと発表した。

トリプル・ダブリュー・ジャパンが開発するDFreeは、腸や膀胱などの内臓の変化を超音波センサで検知・分析して排泄の時期を予知するウェアラブルデバイス。下腹部にシールなどで装着し、Bluetooth接続でスマートフォンなどと連携することで、尿や便がどの程度溜まっているのか、あと何分で排泄されるのかなどといった情報を伝えてくれる。

排泄予知ウェアラブルデバイス「DFree」の外観。35×53×8mm、20gというコンパクトな大きさ

日本国内において、自分の意思で排泄のコントロールができない人は約430万人以上いるといわれており、病院や介護施設では、おむつや排泄物の処理作業に関するコスト削減や作業の効率化が課題となっている。

介護施設において職員は、かなりの時間を排泄ケアに割いているといわれている。職員らは決まった時間に排泄のケアを行っているが、介護を受ける側は自分の思いどおりのタイミングではないため、トイレに100回誘導しても数回程度しか実際に排泄することがない、いわば「空振り」になるといったような状況だという。

そこで今回両社は、2015年12月14日から20日に、介護老人保健施設「ケアセンター習志野」において、DFreeを装着した入所者1名と介護職員数名に対して「排泄ケア支援システム」のトライアルを実施。同システムのプロトタイプをもとに、予測に基づく排泄ケアの業務手順、介護職員に通知するアプリケーションとデータの連携、画面の操作性などの確認を行いつつ、介護職員が業務を通じて気づいた点を、CTCがアジャイル開発の手法を用いて順次改善していった。

同システムでは、入所者が使用するおむつの種類を入力すると、DFreeを装着した入所者のトイレへの誘導やおむつを交換する時期が天気予報マークでタブレット端末上に表示され、また排泄状況が自動でシステムに記録される。

排泄ケア支援システム。奥にある水槽は膀胱の仕組みを模した装置。膀胱の大きさの変化をセンサで感知する

システムの管理画面。トイレへの誘導やおむつを交換する時期を天気予報マークでタブレット端末上に表示する

CTCは今回のトライアルにより、同システム導入によって期待される効果を算出。たとえば尿の横漏れ対応やトイレ誘導の負担軽減により25時間程度、排泄の自動記録により40時間程度、介護士の作業時間の削減が見込めると試算している。

両社は今後、2016月4月以降の市場投入に向け、入所者の属性、食事、薬などの情報も取り入れることにより、同システムの予測制度を向上させていく予定。また、排泄の時期を学習する機械学習アルゴリズムの開発・実装を進め、2016年中に予知機能の実装を目指す。2016年末~年明けには、一般への販売を開始できるよう開発を進めていくとしている。