死んだ人を復活させるため!? 人体を冷凍保存する技術があるらしい!

  [2016/02/03]

未来のために、人体をある方法で「保存」する研究が行われているといいます。一体どのように保存しようとしているのでしょうか?

■世界中に、人体を凍結保存して生き返らせるための機関が存在する

突然ですが、「死」について考えたことがありますか? 若いころには死を身近に感じることは、それほど多くなくても、人間は太古の昔から、死を恐れ、永遠の命を追い求めてきました。それは歴史的に見ても明らかで、例えば秦の始皇帝をはじめとする中国の歴代皇帝や、エジプトのファラオといった権力者たちは、不老不死のために薬を探し求め、その方法を研究させているのです。しかし、いまだに永遠の命を手にする方法は見つかっていません。そんな中、ある意味で「不死に最も近い技術」と言われているのが、「クライオニクス」です。

クライオニクスとは「人体凍結保存」のことです。亡くなった人間の肉体を長期的に冷凍保存し、将来的には、それを蘇生させる、という試みです。「将来的に」というのは、その時期がいつになるか、はっきりと分からないから。これからますます発展するであろう未来の技術力に希望を託し、その時代のテクノロジーをもってすれば肉体を蘇らせることができるのでは、という予測のもと、亡くなった人の体をいったん冷凍保存するのです。

現在、クライオニクスを提供している施設は、アメリカ、中東、ロシア、オーストラリアなど、世界中にいくつか存在しています。そのうちの一つが、アメリカにあるアルコー延命財団(Alcor Life Extension Foundation)です。アルコー延命財団(以下、アルコー)では、全身の保存と頭部のみの保存、どちらかが選べるようになっています。頭部のみの保存方法があるのはなぜでしょうか? それは人間の意識、思考、記憶などの機能の中心は脳なので、脳、つまり頭部を残しておけば、肉体は未来の技術を持って人工的に作ったもので代用できると考えているからです。

費用は、全身で20万ドル、頭部のみだと8万ドルです。この金額で、遺体の搬送、冷凍保存、保管、解凍、蘇生措置が施され、その人が病気だった場合は治療も行います。現在この施設には、脳腫瘍で亡くなったタイの2歳の女の子など、すでに140人ほどの遺体が冷凍保存されているそうです。そして、死後、アルコーに遺体を保存する契約を結んでいる人は1,000人以上もいます。

遺体は、-196℃の液体窒素が入ったタンクの中に保管されています。急激な温度の低下によって肉体の損傷が起こらない手順によって、徐々に温度まで下げ、液体窒素による冷凍保存で腐ることなく遺体の保存が可能になるとのこと。アルコーでは、保存方法も研究を進めています。液体窒素よりも適した方法が見つかった場合は、そちらを採用するそうです。

■人体の再生が実現するか否かは、専門家の間でも意見が分かれている

もちろん、クライオニクスには、技術的、倫理的に、今後解決しなければならないさまざまな問題があるのも事実です。クライオニクス後の蘇生に疑いの目を向けている研究者も数多く、例えば、急激に人体を冷凍した場合、細胞の内部に氷の結晶が生じ、細胞を破壊するため、再生は不可能だ、という意見もあります。

また、遺体を再生できるようになるまでに何十年、何百年かかるか分からず、それまで、遺体を確実に保存できるのか、という問題も抱えています。また、契約に関しても、本人は契約に同意していても、遺族が反対して、訴訟問題にまで発展したケースもあります。

クライオニクスとAI(人工知能)を融合して、死者を蘇らせる方法を研究している会社があります。アメリカのロサンゼルスに拠点を置く「Humai」というAIの会社です。現在研究を続けている「Atom&Eve」計画は、個人のさまざまな情報を、人工のボディに移し替えるというものです。これがどういうことかというと、AIや科学技術を使って、亡くなった人の会話の仕方や行動パターン、思考プロセス、身体機能や癖に至るまで、詳細な情報をデータ化して、人工ボディに冷凍保存していた脳と一緒に移し替えるのです。もし脳が老化していた場合でも、進歩したナノテクノロジーや、クローン技術を駆使することで、亡くなった人の脳細胞を再生することができるのでは、と研究が進められているのです。この会社を設立したジョシュ・ボカネグラ(Josh Bocanegra)氏は、30年以内にも、死から復活する最初の人間を生み出したいと考えているそうです。

■医学の発展は、人類の幸せと大きな夢の実現に深く関わっている

人間の永遠の命と健康は、医学の発展と切っても切り離せないものです。結核やがん、エイズなど、昔なら不治の病とされていた病気も、医学が進歩した現在では治療法が確立されてきています。2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、山中伸弥教授が研究しているIPS細胞も、あらゆる臓器に成り代わる可能性を秘めた細胞で、人間の健康に大きく寄与するものでしょう。医学の発展は、人類の大きな夢の実現に近づくということなのです。

もちろん、命を限りあるものとして、健康で幸せに過ごすためにも、医学の発展は重要です。かつての難病に苦しむ多くの人を救うことも、医学の力を持ってすれば可能になりました。人の生と死に深く関わる、大きな責任を伴う学問ですが、その分、得られるものはとても多いことでしょう。

医学の専門分野は、大きく分けて3つあります。人の体の機能や構造について研究する「基礎医学」、実際に病気を治療するための「臨床医学」のほかに、社会と医学の関わりについて考える「社会医学」があります。そこからさらに、細かい分野に分けられます。医学を志す人ならば、自分が興味を持てる分野を見つけることができれば、さらに意欲を持って研究に打ち込むことができるでしょう。


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