2016年2月1日(現地時間)、Microsoftは太平洋に自己完結型データセンターの試作機を設置する実験を行った。300台分のデスクトップPCに相当する約1万7,000キログラムの装置を、海面下2~3メートルに設置することで、データセンターが抱える排熱処理といった既存の問題を解決する可能性が生まれる。同社は「将来的に世界中の海へデータセンターを設置するのが当たり前になるだろう」と公式ブログで述べている。

容器内にサーバーラックを設置するシーン。この容器を用意するだけで90日間ほど要した(同社公式ブログより)

Natick(ナティック)」と名付けられた本プロジェクトは、データセンターを収容する容器を構築するだけで90日間を必要とし、テスト期間は2015年8月末から11月までの約3カ月間行われた。その間はオフィスから定期的にリモート制御し、月に一回はダイバーが潜って容器のチェックを繰り返していたとプロジェクトチームは説明する。

海中に沈められる自己完結型データセンター「Natick(ナティック)(同社公式ブログより)」

Microsoft Datacenter Strategy担当ジェネラルマネージャーのChristian Belady氏は、「費用面など多くの問題があり、成功するか懐疑的だったが、我々は常に限界へ挑戦する必要がある。今回のプロジェクトから得た経験は、将来の(データセンター戦略に)多くの教訓となった」と語った。

プロジェクトチームは4倍の容器、20倍の計算能力を持つ次のデータセンター設置テストを計画している。今後のICT社会に欠かせないデータセンターだが、消費電力やCO2排出など多くの問題を抱えているが、Microsoftの実験はこの問題に一石を投じそうだ。また、既に世界の海底上には多くの光ファイバーケーブルが配置されているが、これらにデータセンターが直接接続する可能性も将来的に考えられる。

海中から引き上げ上げられた容器は大きく汚れている。海中時はカニがフレーム上を歩いていた(同社公式ブログより)

阿久津良和(Cactus)