理研、フッ素原子を持つ医薬品から分子プローブを合成する新しい手法を開発

 

理化学研究所(理研)は2月1日、フッ素原子を持つ医薬品から分子プローブを簡便かつ迅速に合成する新しい手法を開発したと発表した。

同成果は、同研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター 生命機能動的イメージング部門 イメージング化学研究グループ 分子標的化学研究チーム 丹羽節 研究員、落合秀紀 特別研究員、細谷孝充 チームリーダー、渡辺恭良 グループディレクターらの研究グループによるもので、11月18日付けの米科学誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載された。

医薬品を開発する際には、医薬品の候補となる分子が生体内のどの場所で、どの分子と相互作用するかを調べるため、人工的に機能を付与した「分子プローブ」が用いられることがある。しかし、医薬品やその候補分子に新たな機能を付与する化学変換には、複雑な化学反応や長い合成時間が必要な場合があり、これまでに多彩な機能を持つ分子プローブが開発されてきたが、報告された合成手法の多くはほかの分子の化学変換に応用できていなかった。

今回、同研究グループは、既存の医薬品の多くがフッ素を含むことに着目し、フッ素を反応性の高いホウ素に置き換えた後に、さまざまな機能を持つ原子や官能基を導入する方法を着想した。しかし、フッ素を分子につなぎとめている炭素-フッ素結合は、反応性が低い化学結合のため、フッ素の化学変換は困難が予想される。そこで、古くから炭素-フッ素結合を切断するために用いられるニッケル錯体と、近年ホウ素化反応によく利用される銅錯体に着目。触媒としてニッケルと銅の2種類の錯体を同時に用いる手法を試みたところ、最高収率99%という極めて高い効率で、フッ素をホウ素に置き換える化学反応の開発に成功した。

さらに同研究グループは、今回開発した化学反応を用いて、高脂血症治療薬「スタチン」のひとつである「フルバスタチン」の誘導体を医薬品のモデル化合物として、分子プローブの簡便な合成を行った。フルバスタチンはひとつのフッ素原子(フッ素19)を持つが、実験の結果、効率よくフッ素をホウ素に置き換えることができた。さらに、2014年にイギリスの研究グループが報告した手法を得られた分子に用いることで、このホウ素をフッ素18へ置き換えることができた。つまり、わずか2つの化学変換で、医薬品の持つフッ素19をフッ素18に置き換えたPETプローブを合成できたことになる。

また、光親和性標識プローブとして標的タンパク質の同定に利用できる可能性があるアジド基を持つ分子の合成にも成功。さらに、ホウ素を芳香環や酸素原子、ヨウ素原子に変換することにも成功し、さまざまなフルバスタチンの誘導体を簡便に合成できることを示した。

同手法を利用することで、入手が容易な医薬品から簡便に分子プローブを合成できるようになり、創薬研究や生命科学研究の進展が加速することが期待できるという。

分子プローブの例。蛍光部位を導入した「蛍光プローブ」や光照射により化学反応性を示す「光親和性プローブ」、陽電子放射核種を持つ「PETプローブ」など、さまざまな機能を持つ分子プローブが開発されている



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