人事担当者必見、企画業務型裁量労働制を考える

 

人事担当者必見、企画業務型裁量労働制を考える

業務の遂行方法が、大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務や専門的な職種において、労働時間の計算を実労働時間ではなく、みなし時間によって行うことを認める裁量制度が始まっています。
裁量労働制を実施するためには、専門業務型裁量労働制の場合、労働組合または、労働者の過半数を代表する者と労使協定を締結し、対象業務の特定、業務の遂行手段ならびに時間配分の具体的指示をしない旨を定めるとともに、労働時間のみなし規定を置かなければなりません。

また、企画業務型裁量労働制では、労使委員会における5分の4以上の多数決による決議を要するなど、専門業務型に比べて要件は厳格になっています。ここでは、改正予定の企画業務型裁量労働制を取り上げて、組織や業務の見直しにつなげるヒントをご提案します。

従来の裁量労働制とは?

従来の裁量労働制はシステムエンジニアなどの専門職にのみ適用されるものでしたが、1998年の法改正により、企業の中枢部門において企画・立案・調査・分析の業務を行う一定範囲の労働者を適用対象とする新たな制度が設けられました。労働時間の配分を労働者本人の裁量に任せ、働いた時間ではなく仕事の成果を重視して、実働時間に関係なく給与が支払われる仕組みで、専門職に多く適用されてきました。従来の裁量労働制には以下の2つがあります。
専門業務型の高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナルとは、業務の性質上、労働者の大幅な裁量にゆだねる必要性があり、業務の手段や時間などを具体的に指示することが困難な専門業務です。主な対象業務は、研究開発、情報処理システムの分析・設計、デザイナー、コピーライター、公認会計士、弁護士、インテリアコーディネーター、ゲーム用ソフトウェア開発、証券アナリスト、税理士などです。
企画業務型裁量労働制
企業の中枢部門で企画立案などの業務を自律的に行っているホワイトカラー労働者について、みなし労働時間の計算が認められています。仕事の質や成果を重視するためですが、乱用のおそれがあるため、労使委員会の5分の4以上の決議が必要で、専門業務型よりも要件が厳しくなっています。

改正予定の企画業務型裁量労働制

平成26年就労条件総合調査結果の概況によると、企画業務型裁量労働制を採用している企業の割合は、たった0.8%です。企画業務型裁量労働制を導入していない企業は、法制上の要件が厳しい、対象業務の範囲が狭いなどの理由で制度採用のメリットが少ないと感じているようです。

対象業務の拡大が予定されている企画業務型裁量労働制は、企業経営の効率化とともに、生産性に対する従業員意識の向上も視野に入れています。これらは工場管理や提案営業などの業務に広がり、新しい業務組織の構築につながる可能性もあります。
対象業務の追加
企画業務型裁量労働制に追加される予定の対象業務は、以下の通りです。
1. 事業運営に関する事項について企画、立案調査及び分析を行い、その成果を活用して裁量的にPDCAを回す業務
例えば、工場管理や生産管理など、全社レベルで品質管理の取組計画の立案をし、調達・監査の改善を行い、各工場に展開するような管理者です。複数店舗の管理マネージャーなども業務内容次第で対象となると考えられます。
2. 課題解決型提案営業
例えば、専門知識を駆使して経営課題などを解決する提案営業で、具体的には、ソリューション営業や、事業についての専門的な保険商品を提案する営業などが想定されています。
対象者の健康・福祉確保措置の充実等の見直し
対象労働者の健康を維持するため、労働時間の管理にもとづく代休日、または特別な休暇の付与、健康診断の実施、連続した年次有給休暇の取得促進、健康相談窓口の設置、配置転換の考慮、医師の助言指導や、面接指導などの必要性が指摘されています。

改正後の、企画業務型裁量労働制の導入に適した業務と効果

企画業務型裁量労働制の対象業務拡大にともない、もっとも効果が期待できることは何でしょうか?拡大される対象業務の改善ポイントは、実績が出る前の時間を短縮できることです。例えば、小売業の店舗管理の場合、複数店舗の統括管理のみ行う店長であれば、各店舗運営管理そのものの実績が求められるため、企画業務型裁量労働制といえます。また、法人営業の提案営業であれば、契約金額が高い商談の場合、1ヶ月、半年、1年という期間を本人の裁量による時間配分と業務を実績につなげる働き方ができます。

時間的配分を本人の裁量に任せて、成果や実績を日々意識することにより、目的の達成に集中できる効果があります。また、時間的概念を重視することにより、実績に応じた給与を含む待遇へ反映しやすくなります。期待できるのは、管理者がより成果を意識することで部下にもその意識が徹底され、結果として企業全体の生産性の向上や、残業代の適正な軽減にもつながることです。

企画業務型裁量労働制による、組織と業務の見直し

導入には段階的な手続きが必要であり、単なる企業の残業代カットの制度とならないよう、組織と業務全体の見直しが必要です。適正な見直しにより、従業員と経営者側とのコンセンサスが取れた時、生産性の高い従業員が力を発揮するでしょう。


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