「教育熱心」「押しつけ」…教育虐待を行う親の特徴とは?

 

『教育虐待・教育ネグレクト 日本の教育システムと親が抱える問題(光文社新書)』(古荘純一、磯崎祐介/光文社)

「教育虐待」という言葉がある。『教育虐待・教育ネグレクト 日本の教育システムと親が抱える問題(光文社新書)』(古荘純一、磯崎祐介/光文社)によると、この言葉が登場したのは2011年だが、まだ世間的に広くは認められていないという。

「虐待」とは、「子どもにとって有害なことを親が行うこと」。「教育虐待」は、子どもを追い詰めるような教育行為を指す。具体的な行為としては「勉強ができないことに関して厳しすぎる態度をとること」や「子どもの要求やニーズを無視した一方的な教育を押しつけること」、「きょうだいと比較し、著しい差をつけること」などが挙げられている。行き過ぎた早期教育や英才教育などはイメージしやすいのではないだろうか。「将来的に子どものためになるから」というのは親の言い分であって、「子どもにとって有害なこと」であれば、それは教育虐待となる。

 近年では「毒親」や「モラ母」などの過激な言葉も生まれるくらい、教育に過干渉な親が増えてきている。とはいえ、以前から一定数の「教育ママ」や「教育パパ」の存在は認められてきた。「今さらどうして『教育虐待』なんて言葉が注目されるのか…」と疑問に思うかもしれない。しかし、本書は、加速度的に深刻化してきた教育虐待こそが、日本人の「自己肯定感」を奪っているというのだ。自己肯定感の回復は、グローバル化が進むこれからの日本にとって欠かせない。

 なぜ、日本の子どもたちの自尊感情が世界的に見てもかなり低いのか。著者は、教育現場も含めた日本の教育環境全体で、教育虐待がまかりとおっているからだと見る。幼少期から集団の中で我慢を強いられる、硬直的な学校制度、一方向的でそれぞれの発達の差を無視した一律の授業形態、減点主義・相対主義的な評価…。こういった環境で育ってきた親が、「教育とはそういうものだ」と疑わず、わが子にも知らず知らずのうちに教育虐待を行っていたとしても、そう責められるものではないかもしれない。

「教育虐待」の厄介な点は、「見えにくい」ということだ。教育虐待を受けている子どもの多くは、はたからは何一つ不自由のない生活を送っているように見える。体罰などを伴わない限り、心理的虐待は外傷を負わないからだ。また、教育虐待を行う親の多くは、「倫理的で」「コミュニケーション能力があり」「教育熱心で」「経済的に余裕がある」という、虐待とは無縁に思えるポジティブな特徴を持っている。さらに、これは虐待を受けている子ども全般にいえることだが、「悪いのは自分だ」または「自分のためになるんだ」などと思い込む傾向があるため、日常行動の異変、チック症状の出現、精神面の変調などで専門医に診てもらうまでは発覚しにくい場合が多い。

 早期に専門医にかかり、教育虐待が発覚すれば幸いなほう。精神的な被虐待経験は、じわじわと積み重ねられて、何年か後に「精神を病む」という形で影響が一気に噴出することがしばしばあるという。

 本書では、教育虐待を解消するために、親が「自分の限界を知ること」の大切さを伝えている。真面目で一生懸命で責任感がある親ほど、自分の限界を超えて頑張ってしまう。そして、それを他人に強いる。弱い立場の子どもは、受動的・否定的な体験を押しつけられ、主体性が侵害される。ときには強制せず、指示をせず、評価もせず、子どもに自由にさせて見守るという方向での「熱心さ」を持つことを勧めている。

文=ルートつつみ


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