米Appleで「Project Titan」の名称で噂される自動運転の電気自動車プロジェクトを率いていた人物が、同社を辞めると話題になっている。個人的な理由が原因とされているが、一方でApple上層部とプロジェクトチームでの意見の食い違いが存在しているという話もあり、2019年が目標といわれるプロジェクトの推移に注目が集まっている。

同件はWall Street Journalが報じている。Project Titanについての詳細は以前のレポートを参照してほしいが、Appleが2014年から極秘で進めているといわれる自動運転と電気自動車(EV)を組み合わせたプロジェクトの名称とされている。同社はこれまで公式に一度もプロジェクトの存在や詳細を語ったことはない一方で、自動車業界各社から経験者を積極的に引き抜いていることが知られており、ほぼ公然の内部プロジェクトと認知されている。同部隊を率いているのはiPodやiPhoneの製品デザイン担当バイスプレジデントだったSteve Zadesky氏といわれ、実際に2014年からはProject Titanのスタートとともに同部門のトップに就任し、昨年2015年9月時点で600人超、現在は2,000人近いチームにまで膨れあがっていると噂される。Zadesky氏は1999年からすでにAppleに16年以上在籍しているが、スタンフォード大学の修士号を取得してからAppleに入社するまでの3年間は米Fordに在籍しており、自動車業界には近しいポジションにいたようだ。

ただ、Project Titanそのものはあくまで噂のプロジェクトであり、2019年目標といわれる最初の自動運転車の稼働時期も含め、その最終的なゴールが電気自動車の製造販売にあるのか、あるいは要素技術の提供なのか、はたまたGoogleのように車の貸し出しサービスへの進出なのか不明な部分が多い。WSJによれば、現在Apple内のチームはゴール設定にあたりいくつかの問題に直面しており、本部から提示されるデッドラインを含めた目標設定に不満を抱いているともいう。いずれにせよ、あらゆる方面から最も注目を集めるプロジェクトの1つであることには変わりなく、Zadesky氏の動向が今後にどのような影響を与えるのかを見守っていきたい。