NEDOなど、商用ICカード規格で動作する有機半導体デジタル回路を開発

  [2016/01/25]

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は1月25日、印刷で製造可能な有機半導体デジタル回路の高速化に成功し、商用ICカード規格で動作する温度センシングデジタル回路の開発に成功したと発表した。

研究開発プロジェクトのこれまでの成果の推移。年々、着実に研究が進んでおり、今年の成果としては、ついに8ビット演算処理と、2ビットのADCの搭載、そして25.6kHzのデジタル回路の実現、これらをすべてフィルム基板上で作製することに成功した

同成果は、NEDOプロジェクトとして、トッパン・フォームズ、富士フイルム、大阪府産業技術総合研究所、JNC、デンソー、田中貴金属工業、日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース、パイクリスタルなどの研究グループによるもの。

同プロジェクトチームはこれまでにも塗布により半導体回路を形成できる有機半導体製造技術を開発して、13.56MHzの商用周波数による電波でのデジタル信号の伝送を実現していたが、今回は新たに商用ICカード規格に対応し、かつNFCの処理が可能な26.5kHzの動作周波数で駆動するフィルム上の温度センシング電子回路を開発することに成功したという。

具体的には、従来、ガラス基板上でしかできなかった塗布結晶化法をフイルム上で実現したほか、プロセスの最適化を図ることで、チャネル長5μmの有機CMOS回路を集積することに成功。これによりこれまでのキャリア移動度10cm2/Vsよりも高速な16cm2/Vsを実現。これにより、26.5kHzの3ビットDFF(D-Flip-Flap)回路を構成することを可能とし、NFCへの対応を果たしたという。

チャネル長5μmの有機CMOS回路をフィルム上に集積化することで、有機半導体で26.5kHz駆動の3ビットDFF回路を構成することに成功。これを3段とすることで、8ビットの演算処理を実現した

また、同DFFを3段構成とすることで8ビットの演算処理を実現したほか、温度センサの回路構成を見直し、2ビットの逐次型A/Dコンバータ(ADC)も開発し、高分子伝導体の抵抗温度センサと組み合わせることで、1℃刻みでの温度測定を実現した。

新開発の2ビットADC(左)とフィルム上に実装された有機半導体による回路各種(右)。これまでセンサはリングオシレータを用いた1ビット処理であったが、それが多ビット化したことで、用途の幅が広がることとなる

開発を進めてきた東京大学 新領域創成科学研究所の竹谷純一 教授は、「トッパン・フォームズの事業家の目標が物流の温度管理ということで、薄いフィルム上に製造された温度センサは応答性が早いことから、そうしたニーズへの適用が可能」とし、HF帯の読み取り機を用いて、表示機にその情報を転送するデモを実現してみせた。

有機温度センサと有機A/Dコンバータ

実際に有機半導体で構成された各種回路を含んだタグを日本酒に貼り付けたデモ。登録された情報は13.56MHzで伝送され、タブレット上にそれが表示される

なおトッパン・フォームズでは、今後、事業化に向けた取り組みを進めていくとしており、現状、シリコンベースの半導体を用いたトレースタグの生産コスト100円の半分となる50円での量産を2018年2月ころまでには実現したいとしており、引き続き、大面積プラスチック基盤プロセスの構築、めっき配線や低コスト化技術の開発などを進めていくとしている。

事業家としては2018年2月ころを目安としており、そのころまでに大面積製造技術の確立を果たし、生産コストを従来比半分となる50円で使い捨てラベルとして提供したいとしている



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