育児は「妻が部長、自分は新人」--博報堂の男性社員が語る仕事と育児の両立

 

「博報堂の"赤点パパ"がイクメンは『ちょっとハードルが高い? 』と思う訳」と題した前編では、お父さんの育児を「理想」から「行動」に変えていこうとする活動「パパハックション」のメンバーと同社の子育て中の女性社員たちに、「仕事と育児の両立」について語ってもらった。そこでは、お父さんたちの育児に関して、「育児に関わるために何をしたらいいのかわからない」「育児に本腰を入れる『スイッチ』が入りにくい」という課題が浮かび上がった。これらの課題をどのように解消し、「育児」という「行動」につなげていけるか。後編では議論の行方をご紹介する。

左から時計回りに亀田知代子さん、尾崎徳行さん、木村俊介さん、白井剛司さん、大﨑涼介さん、山崎雅信さん、脇田英津子さん

"緊急事態"をきっかけに、1カ月でもやってみる

3歳の息子を持つ山崎さん。フルタイムの共働き家庭。

脇田さん「育児に本腰を入れる『スイッチ』を入れるためには、奥さんが骨折した、病気になったとか、2人目がうまれるから上の子の面倒はパパがみてっていうタイミングがあるといいのかな」。

尾崎さん「そういう瞬間は確かに"出番だ"感がありますね。日常としてやらなくてはいけなくて、それがダメなのはわかっているけれど、エマージェンシーになるとスイッチが入る」。

脇田さん「すごい感謝されますしね、そういうとき(笑)。実際にそういう出来事があって、パパが『ああ、育児ってこんなに大変なんだ』と思ったという話を聞くので、パパの出番をつくって1カ月でも育児に取り組んでもらうっていうのがいいんじゃないでしょうか」。

山崎さん「僕自身も、子どもがノロウイルスか何かにかかって、家がぐちゃぐちゃだったときに育児にフルコミットしました。仕事柄、打ち合わせを夜にずらしてパソコンで作業ができる体制だったので、昼間は自分が看病して、妻が夕方5時に帰ってきたところで夜働くっていう生活をしたんですね。育児の大変さや何がしんどいのかっていうのがそのときわかりました」。

ママとパパの情報格差を埋める"場づくり"が必要

4歳児と0歳児の2児のお母さんである亀田さん。夫も同社社員。

山崎さん「大変さやしんどさがわかったときに"ティップス"があればいいと思うんですよね。教科書的なものでなく、ウェブメディアにのっているような『まずすべき10のこと』みたいな」。

尾崎さん「今回の活動もいわゆる情報発信の『場』だと思っていて。『場』があることで、メンバーの育児に関しての感度がより高くなっていって、それによってお役に立てる情報が発信できるようになっていくんじゃないかなと」。

亀田さん「ママって仕事の場でも情報交換をよくしているし、横のつながりもある。パパってパパ同士の交流がないですよね。横のつながりができることでちょっとずつよくなっていくかもしれない」。

山崎さん「子育てとか、0歳児の予防接種とか、ママ同士のLINEのグループでがんがん情報が飛び交っている中で、男は分断されている。何をすべきか全く共有されていないので何をしていいかわからないんだと思う。1人で手探り状態なんですよね」。

脇田さん「情報格差を埋めたほうがいいですよね。お母さんの方が育児のアンテナが立っているし、情報量も持っている。パパが何も持たずに行くと、命令ばっかりされる。部長と新人みたいになっちゃう(笑)」。

尾崎さん「係長くらいになりたいですよね(笑)」。

脇田さん「『係長、ここは任せたぞ』ってくらいの関係でいられたら幸せ」。

山崎さん「情報格差があっても、調べるために努力したプロセスを評価してもらえたらとは思いますね。それから『ダメ』って言われて何がダメなのかフィードバックもほしい。成長しないので。何がどうダメだったかというのを話し合う場がなければ、いつまでも新人のまま成長できない」。

情報を積み重ねて下の世代に下ろしていく

――みなさんにとっての「仕事と育児の両立」とは?

尾崎さん「育児に関わる時間を増やすということに加えて、家にいるときに子どもとどう接するか、その質もあらためて大切だと思っています。子どもが学校や習い事で“今”何をやっているのか、何に興味があるのか等にいちいち関心を持って、その内容で会話ができるようにするとか、丁寧に接していかなくてはいけないなぁと思っています」。

木村さん。2015年11月に長女を授かったばかり。

木村さん「結婚当初、夫婦で家事の分担がうまくいかなくて大変だったことがあって。そのときにお互いに何かをやってもらったら『ありがとう』と言い合うことにしたんです。そうすると、自分の方が『ありがとう』って言うケースが多いなと思って、では僕がやろうってことで、家事負担率が今では半々になりました。子どもがうまれたばかりでこれから育児が始まるんですけど、もちろん僕からおっぱいは出ないし、赤ちゃんと一緒の時間はどうしても妻の方が長いから『ありがとう』という回数がまた増えそうな気がします。なので別のことで挽回できたらと思っています」。

白井さん「子どもが2歳になり、元々自分が学生時代に取り組んでいた水泳に連れて行ったりしたら、子どもと関係性が生まれて自分で育児に関わりたい、早く家に帰ろうと思えるようになりました。だから、子どもとの時間を増やすことが大事だなと。それから、奥さんと深く話せていないから彼女が何をしてほしいのかわからなかったと思うので、奥さんや子どもとの会話や一緒にいる時間の質を変えていきたいと思っています」。

2歳児と0歳児の2児のパパである入社3年目の大﨑涼介さん。新入社員研修の頃に長男が生まれ、入社当初からパパ社員。

大﨑さん「仕事柄、仕事を家に持って帰ったりできるので、早く帰宅しようと思っています。子どもを夜9時に寝かせて、そのあと家で仕事を再開するというのをやっていきたい。再来年春から奥さんが仕事復帰するので、そこが怖いなと。先輩たちの情報をため込んで実践できるような下地をつけようと思っています」。

山崎さん「子どもが3歳になって、最近はダイレクトに子育てというよりは、結果的に子育てにつながることをしています。保育園への送りは自分が担当していますが、妻の会社で飲み会のある日には、保育園のお迎えにも行って妻のプライベートな時間をつくるとか。それから実家に帰省するとき、俺と息子だけが先に実家に帰って、妻は自由になる日を作るとかいったことです。妻のプライベートな時間が増えれば自分の子育ての時間も増えると思うんです」。

――活動を通じて、世の中のパパたちにどんなことを感じてもらいたいですか?

尾崎さん「こんなダメパパたちがいるんだ、こんな小さなことが秘訣(ひけつ)になるんだって思ってくれたらいいなと。世の中探そうと思えば、育児の"ティップス"はたくさんあると思います。しかし、まとまっているものはあまり見かけないので、ここで参考になるものもあるなって感じてほしいです。個人的には育休を取らなかったことを後悔しているので、子どもができる前に、子どもがいる人の情報がどれだけ男性に伝わるかっていうのも大きい。メンバーが循環していったときに、情報が下に下に降りていって、積みあがっていくといいなって思っています」。

脇田さん「育休取ろうと思ったら、妊娠がわかった段階で準備しないといけないですもんね」。

山崎さん「金銭面をどうするのかとか、半年も休んで何をするのって実はわからない。育休とった人の話は伝えていった方がいいかなって。結婚していない人たちにも見てもらえたらいいなと思いますね」。

――最後にお母さんたちからも一言お願いします!

脇田さん「子どもが成長していくと、子育ての内容ってどんどん変わっていくじゃないですか。こういう活動がちゃんと続いていって、いろんな子どもの年齢のいろんなステージのハックション(ティップス)がたまっていくといいなと思いました」。

亀田さん「パパたちが集まれる場ができるのが大事だなと。パパの年代によっても育児の意識が違うので、いろんな世代が集まることでギャップがあぶりだされて、少しずつ変わっていくといいですよね」。

――ありがとうございました!

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