2016年のソーシャルメディア活用を考えるために念頭に置くべき7ヶ条<前編>

 

社会全体のデジタル化が急進し、今やマーケティングにおいて最も重要なチャネルの1つとなったソーシャルメディアですが、2015年は企業のソーシャルメディア活用において大きな転換期となった1年でした。今回はその変化を踏まえて、2016年のソーシャルメディア活用について考える時に念頭に置いておきたいポイントをまとめてみました。

1. SNSは広告プラットフォームと心得よ

2015年はFacebook、Twitter、Instagramと、主要なSNSが相次いで広告サービスを強化しました。それまで無料で使えるコミュニケーション・プラットフォームであったSNSが、広告媒体に変貌したと考えると、戸惑いを感じたマーケターの方も多かったと思います。

しかし、エンゲージメント醸成だけでなく、ビジネス成果を生み出す「広告」という施策が増えたことは、SNS活用の投資効果が明確となり、経営においても意思決定が出来る戦略的なチャネルとなったといえます。企業の経営層にもデジタルマーケティングの理解が深まりつつあり、KGI・KPIをしっかり設定することで、経営への貢献が可視化出来れば、SNS活用は企業にとってさらに重要な戦略となっていくでしょう。

また、昨年はテレビとネット広告を連携させた効果測定技術が登場するなど、既存メディアもデジタルで評価出来るようになっていくと考えられます。デジタルデータによりROI(投資対効果)やROAS(広告費用対効果)が明確になると、広告費の支出もこれまでのようにマス広告のみという判断は出来なくなり、SNS広告を含めて最適配分を再設計する必要があるでしょう。

そのためにはユーザーに最適化したコンテンツをどのプラットフォームで配信するかを検討するための「データ」が不可欠です。2016年はどんなデータを集めるか以上に、どのデータを使えば経営貢献を可視化出来るのかというように、「データ」活用の意識も変化しそうです。

参考記事

SMMLab年間人気記事ベスト10で2015年を振り返り!
http://smmlab.jp/?p=41649

Facebook広告を出すなら今!Facebookが広告媒体として魅力的な3つの理由
http://smmlab.jp/?p=38192

ついにInstagram広告が日本企業に全面解禁!知っておきたい広告タイプまとめ
http://smmlab.jp/?p=41033

祝9周年!Twitterについて今知っておきたい9つのトピックス
http://smmlab.jp/?p=38455


2. モバイルを制すものがコミュニケーションを制す

2015年7月、Googleがモバイルデバイスによる新しい消費活動を表す概念として「マイクロモーメント」というキーワードを提唱しました。

参考:https://www.thinkwithgoogle.com/collections/micromoments.html

今や消費者は「何かしたい」と思った「瞬間」に、手元にあるデバイスで情報収集や購買の意思決定をしています。その欲求が発生している「瞬間」をいかに掴むか、その欲求にどんなメッセージを関連付けられるかが、マーケターの腕の見せどころとなります。

Googleが検索アルゴリズムに「モバイルフレンドリー」アップデートを追加したことから、モバイルのSEOも情報接触の入口対策として重要度を増すはずです。そして、モバイルは情報接点と購買体験の融合も加速し、一貫性のある満足度の高い顧客体験の提供が求められているため、モバイルのUI・UXデザイン最適化は急務となりつつあります。情報接触・収集から購買、そしてその先のロイヤリティ醸成まで、全てをモバイルで完結出来るかどうかが、コミュニケーション設計の重大な課題となるでしょう。

参考記事

【ad:tech東京2014レポート(1)】ユーザーの心が動く瞬間=モーメントを捉えろ!
モバイル時代のマーケティングはリアルタイムでのエンゲージメント構築へ【2つの基調講演より】
http://smmlab.jp/?p=35016

【ソーシャルメディア、モバイル時代だからこそ効果的!】
リアルタイム・マーケティングとは?時事ネタ・イベントに合わせた4つの事例
http://smmlab.jp/?p=26829

「CLO」とは?
http://smmlab.jp/?p=36574


3. コンテンツは消費者目線のコンテキストで設計すべし

近年、人々の関心ごとが多様化し、興味も細分化する中で、企業が発信するメッセージが届きづらくなったと言われて久しいですが、最近では複数SNSを巧みに使い分けるユーザーも増え、SNSごとに違うコンテキストが存在し、企業メッセージの情報流通経路はさらに複雑化しています。それを全て把握し、最適化したコンテンツを作り出すのは、企業にとって容易ではありません。

また、SNSが情報インフラとして確立しつつある中、消費者はどんどん疑り深くなり、従来のクチコミが企業の代弁に過ぎないと、「ステマ」扱いされることが増える一方で、ユーザーの発信するコンテンツ(UGC)は共感をあつめ影響力を強めています。その違いは「コンテンツが誰の目線で作られているか」ではないでしょうか。消費者が自分の実体験を元にした情報を、自分の生活の中で、「気分」に合わせて発信したものだからこそ、自然に共感され人々の話題となっていくのです。

ですから、UGCの積極活用は今後の企業メッセージ発信の重要施策となりえますが、これまでのように発信したい情報を提供するのではなく、ブランドや製品をユーザーに委ね、自発的な発信を促す支援が必要となります。

ブランドや製品をユーザーに委ねるのは、企業にとって勇気のいる判断となりますが、だからこそSNSやオウンドメディアでエンゲージメントを獲得した、ユーザーコミュニティを持つことが重要となってくるでしょう。

消費者目線でのコンテンツ創出をいかに促進できるかという次世代型UGC活用の視点では、インフルエンサー・マーケティングも再評価すべきです。SNSは多様化が進み、新しいもの、ニッチなものがどんどん生まれています。そうした新しいSNSでは大半のユーザーが発信よりも受動的な活用にとどまるので、まずアーリーアダプターの中で積極的に発言する影響力のあるユーザーに協力してもらうべきです。

たとえば、Instagramは昨年日本でも爆発的に普及しましたが、まだ閲覧のみのユーザーも多く、インフルエンサーの活用が効果を上げているといえます。ただし、この場合も「ステマ」と見做されてしまわないように、ユーザーの発信しやすい情報提供に留意しなければなりません。

参考記事

【ユーザーを巻き込む!コンテンツマーケティング:前編】
ブロガーと取り組むメリットと共創的事例
http://smmlab.jp/?p=36429

【ファンから集めたコンテンツを活用しよう!】
話題のソーシャルメディアキャンペーン事例まとめ【二次活用特集!】
http://smmlab.jp/?p=38758

ECサイトのCVRが32%アップ!ソーシャルから収集した
生活者視点のイメージカットを有効活用した実例紹介
http://smmlab.jp/?p=41469

UGCとは?
http://smmlab.jp/?p=36113

「ステルスマーケティング」とは?
http://smmlab.jp/?p=17861

「インフルエンサー」とは?
http://smmlab.jp/?p=21459


4. 顧客は差別でなく区別して対応すべし

近年、多くの企業が様々なデータの収集・分析に力を入れるようになり、これまで知ることの出来なかった消費者についての情報が分かるようになりました。そのデータを元にすることで、広告配信の精度は飛躍的に向上しましたが、一方で行き過ぎたターゲティングによる、コンテキスト(文脈)や関係性にマッチしていない広告には、ユーザーが嫌悪感を感じつつあります。

また、ソーシャルメディアでは、これまでつながれなかった潜在顧客とも関係を構築することが可能になりましたが、顕在化へのアプローチは画一的ではなく、コミュニケーションコストが高いため、費用対効果だけを考えると評価が難しい側面がありました。

こうした課題の解決にはユーザーの行動データだけでなく、SNSでの関係や発言内容の好意度などを数値化した、いわゆるSNSデータの活用がポイントになります。前述のように、ユーザーはその時の気分や発言内容によって、複数のSNSを使い分けていますので、こうしたデータもSNS横断で蓄積し、ユーザーの感情変化を把握していく必要があります。2015年まではDMPのアウトプットというとターゲティング広告がメインでしたが、今後はこうしたSNSデータもDMPに一元管理し、ユーザーの関与度に合わせたコミュニケーション設計に活かす取り組みが増えるのではないでしょうか?

そして、ブランド・ロイヤリティによってユーザーメリットを段階的に設定するだけでなく、それぞれの関係性に最適化した対応によって愛着を醸成していくことで、One to Oneマーケティングが本質的に進化すると考えられます。

参考記事

企業のSNS活用はエンゲージメントの先へ!
これからのWEBキャンペーンを成功させる3つのポイント
http://smmlab.jp/?p=40355

企業のソーシャルメディア活用はどうなる?
2015年のマーケティングトレンドから考える7つのポイント
http://smmlab.jp/?p=37000

【ad:tech東京2013レポート(3)】
生活者の態度変容を引き起こすコンテンツとは?
http://smmlab.jp/?p=25368


2016年のソーシャルメディア活用を考えるためのポイントを4つご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

2015年は大企業の経営層にもデジタルマーケティングの理解が進んだ1年でもありました。マーケティングは経営に直結した重要課題であるという認識も広がっていることから、これからはソーシャルメディアの活用にも、より戦略的な判断が必要とされるでしょう。リアルな顧客を知る存在として、その役割がさらに重要になるであろう現場のマーケターにとって、SNSはコミュニケーションとデータの両面から「消費者」の実像を教えてくれる、良き指南役となるはずです。今年はSNSをどう使うかだけでなく、その先のビジネスゴールにどうつなげるかも考えてみてください。

後編ではもう少し実践的に施策を検討する上でのポイントを3つをご紹介します!

本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボにて掲載された記事を転載したものです。



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