おたふくかぜの患者は3~6歳で約6割を占めるとされている

国立感染症研究所は1月19日、1月4~10日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果より、同期間中に約4,000人が各地の医療機関でいわゆる「おたふくかぜ」(流行性耳下腺炎)と診断されたことが判明。直近2カ月間で患者が増加しており、警戒が必要な状況となっている。

ムンプスウイルスによって引き起こされる流行性耳下腺炎は、2~3週間の潜伏期を経て発症。片側あるいは両側の耳下腺がはれ、発熱するという症状が出る。通常は1~2週間で症状が軽くなるとされているが、髄膜炎や髄膜脳炎などを併発するケースもある。成人男性では睾丸(こうがん)炎、成人女子では卵巣炎の合併症がみられることがある。

同研究所によると、近年は3~4年周期で流行がみられるようになっており、患者は4歳以下が5割ほどを占めるという。感染経路は、せきやくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染など。

全国約3,000カ所の定点医療機関から1月4~10日(2016年第1週)の期間中に報告があった患者数は、3,771人。その前の週(1,715人)の倍以上の数値となっているが、直近2カ月間において増加傾向がみられていた。

1医療機関ごとの患者数は、2015年の第46週(11月23~29日)に2015年シーズンで初めて0.7をマーク。そこから0.67、0.77、0.81、0.85、0.94、0.88と1近い数値で推移。患者数が1,715人だった第53週に0.56と落ち込んだものの、1月4~10日に1.2まで急伸した。全国約3,000カ所のすべての定点医療機関で、同期間に1人以上が「おたふくかぜ」と診断されたことになる。

なお、過去5年間の第1週時点における定点医療機関あたりの患者数と比較すると、2016年(1.2)は2011年の1.37に次ぐ高い数値となっている。2011年7月を最後に1を下回る期間が続いており、3~4年周期での流行という法則と鑑みても警戒に値するといえそうだ。

2016年の第1週において、都道府県別での患者数が最も多かったのは北海道の306人。以下は福岡県(295人)、埼玉県(240人)、千葉県(233人)、東京都(205人)と続く。ただ、定点医療機関あたりの患者数が多かったのは、佐賀県(5人)、宮崎県(4.23人)、石川県(3.31人)、沖縄県(3.21人)、山形県(2.5人)となっている。

おたふくかぜおよびその合併症の治療は、発熱に対して鎮痛解熱剤を用いるなど、基本的に対症療法となる。また、予防に関しては「効果的に予防するにはワクチンが唯一の方法である」(同センター)としている。

患者が増加している現状を受け、Twitter上では

「おたふく風邪はだいたい4年周期で流行すると…」

「おたふくかぜの予防接種、未だに打ってないわ…」

「おたふく風邪はやってるのか。 こどもの頃にやってないから怖い」

などのように、不安視するコメントが多数見られる(コメントは原文)。

※写真と本文は関係ありません