富士通、Fujitsu Vietnam(富士通ベトナム)、イオンアグリ創造の3社は1月19日、ベトナム・ハノイ市で、同国政府女性連合の調査員がスマートフォン用アプリを利用して報告する、農作物の市場価格情報を集約する実証事業を開始した。

関連事業全体のイメージ

この実証実験は、3社が2015年10月からベトナム・ハナム省で国際協力機構(JICA)ベトナム事務所の支援を受けて実施している、ICTによって農作業履歴・生育状況・栽培環境情報を収集して利用する日本式農業の有効性を評価する実証事業の一環。

同事業は2015年1月から1年間、富士通と富士通ベトナムがJICAベトナム事務所の支援を受けてベトナム・フエ省で行った住民参加型防災システムの有効性評価での実績とノウハウを応用したもの。同国で導入しやすいというスマートフォンを利用して農作業履歴や市場価格などの情報を収集し、富士通のデータセンターで集約・可視化して提供、イオンアグリ創造は、収集したデータを利用して農作業を指導するとのこと。

同国では生計向上および農業6次産業化に向けた課題解決として、農作物の安全性と生産性の向上を実現するフード・バリュー・チェーン構築が急務になっているという。JICAベトナム事務所は、ベトナム農業の活性化と発展のために日本の農業分野でのICT技術の活用を提言し、同事業を立ち上げたとのことだ。

市場価格情報収集アプリの画面

市場価格情報の調査では、同国政府女性連合の13人が調査員として参加。各調査員がハノイ市内のスーパーマーケットや市場の1店舗を担当して野菜の販売価格・産地・状態(写真撮影)などを調査し、市場価格情報収集スマートフォンアプリを使用して送信する。

送信した情報は富士通のデータ収集蓄積基盤上に集約し、同市の地図上にマッピングする。JICAベトナム事務所、富士通、富士通ベトナム、同国政府女性連合の調査員は、同アプリを利用して市場価格情報を確認できるという。

なお富士通、富士通ベトナム、イオンアグリ創造の3社は2016年3月に、同国の農業へのICT導入、日本式農業指導および市場価格情報調査の有効性と効果について調査結果を報告書にまとめ、JICAベトナム事務所に報告する予定としている。