NIHSなど、再生医療用移植細胞中のがん細胞を超高感度に検出する方法を開発

 

国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)はこのほど、日本医療研究開発機構(AMED)および先端医療振興財団との共同研究により、再生医療用の移植細胞の製造中に混入または発生するがん化のリスクを持つ悪性形質転換細胞(がん細胞)を超高度に検出する「デジタル軟寒天コロニー形成試験法」を開発したと発表した。

同成果は同研究所再生・細胞医療製品部の佐藤陽治 部長とAMEDリサーチ・レジデントの草川森士 博士を中心としたグループによるもので、2015年12月8日に英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

再生医療に用いられる移植細胞の製造工程管理では、がん細胞が混入してしまった場合にそれを高感度で検知し、移植細胞の品質を確保する必要がある。がん細胞の特性である足場非依存性増殖を利用する従来の「軟寒天コロニー形成試験」は、正常細胞への混入を比較的短期間かつ簡便に評価することができるが、従来のアッセイ法におる検出感度は低く、正常細胞中に微量に混入したがん細胞から形成されるコロニーを検出することは困難だった。

これに対し、同研究では画像解析によるコロニー検出に挑戦し、細胞の核、ミトコンドリアをそれぞれ青、赤に染める生細胞染色試薬を用いてコロニーを染色し、コロニーの形状、大きさ、蛍光輝度などを指標とすることで1個のコロニーを高精度に認識することが可能となった。また、画像解析のハイスループット化にも成功した。

さらに、同技術を応用して、細胞試料をマルチウェルプレートに分割、播種して軟寒天培養を行い、各ウェル内での細胞コロニー形成を解析し、足場非依存的に増殖するがん細胞の混入を評価する「デジタル軟寒天コロニー形成試験」を考案。同試験法は大量の細胞からなる試料であっても、複数に分割したウェル毎にコロニー形成の有無を解析するため、高シグナル/ノイズ比が確保され、試料中に微量に存在するがん細胞を高感度に検出することが可能となる。同試験法を同グループが評価したところ、HeLa細胞相当のがん細胞が混入する細胞試料であれば0.00001%の感度で検出可能であることが示唆されたという。また、細胞試料を分画、播種するウェル数および培養細胞数を調節することで、検出感度を適宜向上させることが可能であることに加え、細胞数にかかわらず、高検出感度を保持する同試験法の適用が可能だと考えられている。

同研究グループは今後、再生医療用の移植細胞の製造工程における品質評価のための標準的な試験系にすることを目指し、試験系の自動化などもふまえ、試験方法の最適化に向けた研究を進めていくとしている。

軟寒天コロニー形成試験のイメージ図。がん細胞は足場非依存的増殖性を有するため、軟寒天培地中でコロニーを形成する。一方、正常な細胞はコロニーを形成しない。

コロニーの生細胞染色。ヒト間葉系幹細胞にHeLa細胞(株化されたヒト子宮頸がん細胞)を混入させた試料を軟寒天培養した結果、HeLa細胞由来のコロニー形成が観察された。生細胞染色蛍光色素を用い、細胞のミトコンドリア、核をそれぞれ赤と青に染色した。コロニーの形状、大きさ、蛍光輝度等を指標とする画像解析によって、コロニーを高精度に検出することが可能となる。

正常細胞中にごく微量に混入するがん細胞を検出する方法

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