2008年伊豆諸島の鳥島から小笠原群島の聟島(むこじま)に移送され巣立ったアホウドリの一羽から待望のヒナが誕生した、と15日、山階鳥類研究所が発表した。

同研究所は、聟島にアホウドリの新繁殖地をつくるプロジェクトを2008年から進めている。聟島から巣立ったアホウドリから初めてとなるヒナは、08年に鳥島から移送され、巣立った後、北太平洋で過ごし、繁殖期に里帰りした7歳の雄と、野生の雌との間に生まれた。確認されたのは聟島の北西部に位置するヒナの飼育場所。9日に山階鳥類研究所員が現地を訪れ、里帰りした親鳥の腹の下にいるヒナを300メートル離れた位置から望遠鏡で確認した。

写真1. 親鳥(7歳雄)の腹の下にヒナが見える=撮影:山階鳥類研究所(提供:東京都)

写真2. ヒナの拡大写真=撮影:山階鳥類研究所(提供:東京都)

親鳥は12年から3年連続で繁殖シーズンに野生の雌と巣作りをし、産卵も確認されていたが、いずれもふ化には至らなかった。

アホウドリの繁殖地は尖閣諸島と鳥島の2カ所しかない。尖閣諸島は保護活動が難しいため、鳥島から生まれたばかりのヒナを移送し、聟島に新しい繁殖地をつくる山階鳥類研究所のプロジェクトが始まった。08~12年の5年間に計70羽のヒナを鳥島から聟島に移送して人工飼育し、69羽を巣立たせた。聟島の飼育地には09年から野生のアホウドリの飛来が観察されるようになり、11年からは人工飼育した個体の帰還が確認されている。

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