NTTデータとスペインの子会社であるeveris(エヴェリス)グループは1月15日、Andalusian Health Service(アンダルシアンヘルスサービス)、Virgen del Rocio University Hospital in Seville(ヴァーゲン・デル・ロシオ大学セビリア病院)と集中治療室(ICU)向けの医療データ分析ソリューションの実証実験を開始すると発表した。

実証実験はICU向け医療データ分析ソリューションの開発に向けた共同研究の一環として、1月27日~3月31日の期間で医師などの協力によりICUにおける有用性を評価する。同ソリューションは、均一かつ迅速な医療を目的に治療手順にのっとり、電子カルテやモニタリングデータなどの情報を一元化して提示することで医師のリアルタイムな意思決定をサポート。

将来的には患者の症状推移の予測情報を提供することを目指しており、2017年にエヴェリスを軸にスペイン、ラテンアメリカにおいて同ソリューションを「ehCOS Smart ICU」として提供開始。その後、グローバルに展開しているNTTデータグループ会社を通じて、欧米諸国などへのサービスの提供を予定している。

これまでNTTデータとエヴェリスは医師の意思決定の効率化や精度の改善を目的にICUで用いられている各種医療機器から得られる情報を1つのプラットフォームに集約し、患者の状態を示すデータとして一元化したうえで提示していたほか、これらのデータを分析することで症状推移の予測情報を提供するソリューションの開発を目指し、共同研究を行ってきた。

今回、プロトタイプのシステムが完成したことから、実証実験を行い、実際の医療現場における声を反映させることで、2017年をめどに同ソリューションの完成を目指す。

同ソリューションはICUの医師に対し、治療に関する注意喚起情報や症状推移の予測情報など患者の状態、治療状況に関する情報を一元的に提供することを目指しており、エヴェリスの電子カルテを中心とした病院向けソリューション「ehCOS」に、NTTデータ技術開発本部で開発を進めているビッグデータ分析ソリューションを組み合わせて開発。

ビッグデータ分析ソリューションは、オープンソースを活用したものであり、大量のストリーミングデータに対するリアルタイムなデータ分析を可能とする。

なお、実証実験はVirgen del Rocio University Hospital in Sevilleで実施し、プロトタイプシステムを用いて医師への治療手順伝達手法の検証やデータ収集プラットフォームの性能検証、患者の症状推移の予測技術開発などを進める。