米Microsoftのリリースした新しいアプリが話題になっている。「Cellular Data」と呼ばれるこのアプリは現在Windows Store上で無料公開されており、「Microsoft SIM」との併用で「モバイルデータ通信容量」のオンライン購入や「リアルタイムでの残量照会」が可能になるという。もっとも、同社では「Microsoft SIM」やそれに関わる発表は行っておらず、間もなくMicrosoftが「Apple SIM」ライクなサービスを提供するのではないかとの憶測を呼んでいる。

Microsoftが先週末にWindows Store上で突如公開した「Cellular Data」アプリ

同件は、The Vergeなどが報じており、前述のようにCellular Dataアプリは提供こそ行われているものの、併用すべき「Microsoft SIM」が存在しないため、アプリ単体での運用ができない状態だ。

アプリの説明によれば、x64またはx86ベースの特定のWindows 10デバイス上で利用が可能とあり、おそらくは本体にLTEモデムを搭載した一部モデルを対象としてMicrosoft SIMを挿入することで利用できるようになるとみられる。

サービス自体は毎月固定のサブスクリプション型のプランではなく、適時必要に応じて容量を選択して追加購入が可能なプリペイド形式となるようだ。アプリ利用にあたっては、タスクバーのWi-Fiアイコンをクリックし、メニューから「Cellular Data」の項目を選択する。ここでプラン選択が行えるので、例えば外出先で「Wi-Fi環境がない」「LTEデータプランを契約していない」状態であっても、Cellular DataアプリとMicrosoft SIMさえあれば、いつでもインターネットに接続できる。請求はWindows Store経由で行われる。

また説明によれば、サービスは一部地域限定でスタートし、最初はサービス提供国の国内利用に限られるという。国際ローミングは順次展開とのことで、おそらくは米国内などで先行提供が行われ、そこから国外での域内向けサービスとローミングサービスが順次提供されると思われる。なお、Cellular Dataアプリそのものは日本語版も提供されており、少なくとも日本も将来的なサービス予定地域には含まれているようだ。

ZDNetのMary Jo Foley氏によれば、アプリのFAQに含まれる文章の記述で、最初のローンチ地域が米国、英国、フランスの3カ国になることが記されているという。また、MicrosoftはMVNOのTransatelと提携を発表しており、Transatel DataSIMがこのMicrosoft SIMとして、その関連サービス向けに利用されるようだ。

前述のように、このMicrosoft SIMは、AppleがiPadユーザー向けに提供しているデータ通信専用の「Apple SIM」を意識したものと考えられ、Windowsタブレットや一部モバイルノートPCの使い勝手を向上するものになるとみられる。

Apple SIMは、その内部に複数のキャリアの契約情報を書き込むことができ、1枚のSIMカードで2~3カ国のキャリア契約を維持したまま移動することも可能だ。そのため、海外移動の多いユーザーには重宝されるサービスとなっている。一方で、先ほどのTransatelは欧州を中心としたMVNOであり、米国や東南アジアなどの一部地域はサービス対象国に含まれるものの、日本を含む多くの国が対象外となっている。

Microsoftの正式発表待ちではあるが、日本のユーザーにとっても使いやすいサービスとなることを期待したい。