12月の米雇用統計レビュー - 米国の利上げペース鈍化を結論付けるのは早計

 

日本時間1月8日の22時30分に発表された米12月雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が前月比29.2万人増と予想(20.0万人増)を大幅に上回るとともに、前2カ月分が合計で5万人上方修正された。この結果、3カ月平均の増加幅は28.4万人へと急上昇した。また、12月の失業率は、予想通りではあったが2008年4月以来の低水準である5.0%を3カ月連続で維持。一方で、時間当たりの賃金(平均時給)は25.24ドルと、前月の25.25ドルからわずかに減少してしまい、前年比の伸び率でも+2.5%と事前予想(+2.7%)に届かなかった。

米失業率と非農業部門雇用者数

米国平均時給

市場はNFPの大幅増を好感する形で発表直後こそドル高・株高・債券安(長期金利上昇)で反応したが、次第に流れが反転。最終的にはドル安・株安・債券高(長期金利低下)でこの日の取引を終えた。中国情勢への不安や原油安の進行が重石となった面が強いが、雇用統計で示された賃金減少の影響も小さくなかったと見られる。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で9年半ぶりの利上げに踏み切るとともに、2016年に4回(合計1%)の利上げを行うとのガイダンスを示したが、今回の雇用統計を受けて、市場はそのガイダンスに対する否定的な見方を強めたようだ。原油価格が低迷する中、賃金の伸びも鈍いとなれば、低インフレの長期化は避けられず、FRBが年4回もの利上げを行うのは困難、という見方に傾くのは当然かもしれない。実際に米金利先物市場では、1月26-27日のFOMCにおける利上げ確率(0.50%から0.75%へ)が10%程度に低下、3月15-16日のFOMCでも40%程度に低下している。(※CMEグループ Fed Watchより)

もっとも、米国の賃金上昇ペースがこのまま失速してしまう事は考えにくく、現時点で米国の利上げペース鈍化を結論付けるのは早計だろう。失業率5.0%という「完全雇用」に近い状況にもかかわらず、12月のNFPが29.2万人もの増加を記録した点は、賃金上昇がいつ加速を始めても不思議ではない事を示している。今後、人手不足による賃金上昇の兆しが見えれば、FRBは利上げが後手に回る事を懸念し始めるだろう。

今回の12月雇用統計の結果は、次回1月FOMCにおける追加利上げの可能性を感じさせる内容ではなかったが、決して3月FOMCにおける利上げを否定する内容ではなかった。3月FOMCまでに発表される2回の雇用統計(2月5日、3月4日)では、追加利上げの是非をめぐり、平均時給の伸びが大きな焦点となりそうだ。

執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya

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