米AppleがiOS 9の次期アップデート「iOS 9.3」のプレビューを公開した。夜間にディスプレイの表示をナイトモードに自動的に切り替える「Night Shift」、学習にiPadを活用するためのエデュケーション向け機能「Education」といった全く新しい機能のほか、「メモ」「ヘルスケア」「News」などの標準アプリにも強化や新機能の追加が行われる大きなアップデートになる。

モバイルデバイスやPCを夜間に使用すると、ブルーライトによってサーカディアン・リズム(昼と夜の周期による1日のリズム)が崩れて不眠につながる恐れがある。Night ShiftはiOSデバイスの時間とロケーションに基づいて、日没後にディスプレイの表示を自動的により暖色で目に優しい設定に切り替え、翌朝に通常の設定に戻す。

iOS 9で機能が増加し、様々な情報を扱えるようになった「メモ」アプリ。金融関連や医療関連、またはログイン情報といったプライベートの情報も安全に管理できるように、パスワードやTouch IDを使って情報を保護するセキュリティ機能が加わる。またメモを作成日、変更日、タイトルなどでソートできるようになる。

健康やフィットネスに関連するアプリのデータを一カ所で管理できる「ヘルスケア」。ダッシュボードが改善され、サードパーティのアプリとの連係が向上する。たとえば、体重、ワークアウト、睡眠といったカテゴリーで、対応するサードパーティアプリがスライダーメニューで表示され、簡単にダッシュボードに追加できるようになる。またApple Watchのムーブ、エクササイズ、スタンド、そして目標などのデータもヘルスケアに表示されるようになる。

iOS 9と共にプレビュー公開されたEducationには、以下のようなサービスやアプリ、機能が含まれる。

  • Shared iPad:生徒がログインして、それぞれの環境を呼び出しながら利用し、複数の生徒でiPadを共有する。生徒に一台のiPadを用意できなくても、共有することで効率的に全体で活用できるようになる。
  • Classroomアプリ:iPadを使った授業をアシストする教師向けアプリ。
  • Apple School Manager:Apple IDの作成、アプリの購入、デバイスのセットアップなど管理者向けポータル。
  • Managed Apple ID:パスワードのリセット、IDのグループ作成、権限のカスタマイズなど学校での利用に即してデザインされたエデュケーション向けApple ID。

ニュース・アプリ「News」(米国/英国/オーストラリアで提供中)は、ユーザーが関心を持つ分野のニュースや記事をまとめて配信するパーソナライズ機能「For You」が向上する。新しい記事をアップデートするスピードが高速になり、トレンド表示やエディタのオススメが利用者の発見を促す。記事にビデオが含まれている場合、フィードから直接再生できようになり、iPadだけではなく、iPhoneでもランドスケープ表示が利用可能になる。

iPhoneを接続してカーAV機器と連動させる「CarPlay」も音楽やマップ機能が向上する。音楽は、Apple MusicのNewとFor Youに対応、マップは近くのガソリンスタンドや駐車場、レストランなどをリストする「この周辺」をサポートする。なお、AppleはCarPlayのページにおいて、2016年以降にCarPlayをサポートするメーカーと車種のリストを公開した。これまではパートナーメーカーのみだったが、車種まで具体的にリストされているので購入の計画の参考になる。

AppleがiOS 9.3プレビューで公開している情報は以上だが、9to5Macによると、iOS 9.3では他にも数多くの機能追加が計画されている。たとえば、3D Touchでアプリの切り替え画面にアクセスする際に、操作に振動のフィードバックが加わり、切り替わったタイミングが分かりやすくなる。「天気」「設定」「コンパス」「ヘルスケア」が3D Touchに対応、「App Store」「iTunes Store」の3D Touchショートカットが改善される。「Wallet」アプリのApple Payやパスから連動するサードパーティのアプリに移動でき、またApple Watchのアクティビティデータを表示する「アクティビティ」アプリにワークアウトが加わる。そしてSiriがヘブライ語とマレー語をサポートする。