精神的に成長し、東福岡攻撃陣になくてはならない存在になったMF三宅海斗

 

東福岡MF三宅海斗 [写真]=瀬藤尚美

 今大会の東福岡高校で最も目立っている選手は誰か。恐らくこの問いへの回答は意見が分かれるに違いない。GK脇野敦至を挙げる声もあれば、主将のMF中村健人を挙げる声もあるだろうし、橋本和征やDF小田逸稀の名前も出てくるかもしれない。そして当然、右ウイングとして奮闘するMF三宅海斗の名前も挙がってくることだろう。

 三宅の名前が全国的に知られるようになったのは、昨夏の高校総体(全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会)だった。右サイドからの力強い突破と左足のパワフルなシュートを併せ持ち、勢い良く中へと切れこんでいく迫力満点の突破で異彩を放った。この冬の選手権(全国高等学校サッカー選手権大会)においても、膠着した展開が多い中で「個」で状況を打開できる三宅の存在は大きい。準決勝でも「相手がマンツーマンだったので、センターバックとサイドバックの間にポジションを取るようにした」という位置取りから星稜高校守備陣を切り裂いて試合のペースを序盤から東福岡へと傾ける原動力となった。

 そんな三宅だが、岡山県の倉敷北中学校時代は無名の存在だった。「市大会2回戦で負けるようなチームだったので」と苦笑いを浮かべるが、しかし中学3年最後の大会である高円宮杯U-15(高円宮杯全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会)県大会では16強まで進出。「そこで東福岡OBの方から、『練習会に出てみないか?』と声をかけてもらった」。その練習会で一発合格。「特待生にしてくれるということで、他にそんなことを言ってくれる高校もなかったので、行くことになった」と言う。

「入学式の時になって『あれ? 女がいないな?』と、東福岡が男子校だと初めて気づいた」という根っからの天然タイプは、東福岡での厳しいトレーニングを通じて大きく成長。「とてつもなく走った」結果として、特にフィジカル面で大きな進歩を遂げた。そして、もう一つ、長足の進歩となったのが精神面だ。

 ここまでの道のりは平坦ではない。アタッカーにありがちな「自己中だった」という振る舞いが災いし、昨年3月のサニックス杯国際ユースサッカー大会では「完全に干されて」1試合も起用されず。このままメンバー落ちかと「めちゃくちゃ悩んだ」という。しかしここで意固地になることなく、「みんなに『どうしたらいいのか』と相談した」という三宅は、同じ岡山出身の親友・橋本らのアドバイスも得ながら行動と態度を改め、首脳陣の信頼を取り戻していった。

 いよいよ迎える決勝戦。堅守の國學院久我山高校を崩すとしたら、やはり伝統のサイドアタックしかないだろう。もはや東福岡攻撃陣になくてはならぬ存在にまで成長している三宅にかかる期待は自然と大きくなる。今大会はここまでゴールに見放されたようなシーンも目立つが、「神様が決勝にゴールを取っていてくれているのだと思う」とポジティブに解釈。得意のカットインシュートを久我山ゴールへ突き刺すイメージを膨らませている。

文=川端暁彦


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