「夏の主役」から「冬の主役」へ…東福岡MF藤川虎太朗が復活の先制弾

先制点を挙げた東福岡の藤川虎太朗 [写真]=瀬藤尚美

 けがで途中出場が続いていた『夏の主役』が、今大会初スタメンとなった第94回全国高等学校サッカー選手権大会準決勝で大仕事を果たした。

 インターハイ優勝のMVPでもある東福岡の2年生MF藤川虎太朗は、今大会でも注目選手の一人だった。しかし、大会前に負傷し、今大会は『スーパーサブ』的な存在となってしまっていた。「ずっと『どこかでチャンスはくるから』と呪文のように言われていたので、そのチャンスを信じて、トレーナーさんと2人でリハビリを続けた」結果、ついに埼玉スタジアムの大舞台でスタメンのチャンスが巡ってきた。

 そして、藤川の存在が大きな効力を発揮した。立ちあがりからキャプテンの中村健人とともに、ツーシャドーとして攻撃の中心として君臨した彼に対し、星稜が戸惑っていることが、手に取るようにわかった。

 星稜は、中村にはボランチの大橋滉平を当て、1トップの餅山大輝にはセンターバックを、両ワイドにはサイドバックをしっかりと当てていたが、藤川のマークが甘かった。星稜の藤川への対応を見た時、「この試合は藤川が決めるな」と筆者は直感的に感じた。

 そして、その予想どおり、彼が試合を動かした。45分、中央で中村がボールを受けると、左サイドのFW橋本和征に展開。この時、藤川は一度DFの視野から消えて、ニアサイドに飛びこむタイミングを見計らっていた。

「橋本君がボールを持って、ちょっと行き詰まった。でも、僕をマークしていた相手の8番(大橋)と14番(片山浩)のダブルボランチの足が止まっていたので、『これは行けるな』と思った」

 中央の2人がボールウォッチャーになった瞬間、一気にスプリントを上げる。ペナルティーエリア内のニアサイドに入りこむと、橋本からパスが届いた。「左足のダイレクトで打とうと思ったけど、パスが強かったのと、芝の状況で上にすくいあげてしまいそうだったので、ダイレクトではなくワンタッチして、しっかりとしたインパクトで振り抜こうと思った」。驚くほど冷静な判断で、ワントラップから左足を振り抜いた。ボールはゴール右隅に突き刺さり、チームに待望の先制点をもたらした。

「必ず点を取る。チームを勝たせる気持ちでしかなかった」

 この男にエンジンがかかれば、東福岡の攻撃力は一気に増す。次なる舞台は17年ぶりの選手権決勝。『夏の主役』が『冬の主役』になるべく、ようやくそのスタートを切った。

文=安藤隆人


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