米AMDのGPU部門であるRadeon Technologies Groupは4日(現地時間)、同社の次期GPUアーキテクチャ「Polaris」を発表した。同アーキテクチャをベースとしたGPU製品を2016年半ばに投入するという。

新アーキテクチャ名は「北極星」を意味する"Polaris"

「Polaris」は、単なるプロセッサだけでなく、マルチメディアやディスプレイ系の機能、キャッシュ、メモリコントローラ、電源管理など、現在のGPUとして必要なさまざまなコアやエンジンをまとめたアーキテクチャ全体に付けられたブランド名となる。

"Polaris"はさまざまな機能を持ったコアやエンジンをまとめたアーキテクチャ全体に付けられたブランド名

GCN(Graphics Core Next)は第4世代にアップデート。また、HDR(high dynamic range)に対応したHDMI 2.0a、DisplayPort 1.3をサポートするほか、HDR対応の4K対応のH.265 main 10デコーダ、4K/60fpsに対応したH.265エンコーダを備え、インタフェースやマルチメディア周りの機能を大きく強化する。

アーキテクチャの概要。GCNをはじめ、マルチメディアコアやディスプレイエンジンなど多くの部分が冊子印されている

「Polaris」のKey Features。GCNは第4世代となり、プリミティブを廃棄するアクセラレータやハードウェアスケジューラ、命令関連のプリフェッチ、シェーダ効率、メモリ圧縮技術などでアップデートが入るようだ。このほかにもインタフェース関連では、HDMI 2.0aとDisplayPort 1.3のサポートなど一気に競合を上回る強化を予定する

製造プロセスは14nm FinFETで、従来の28nmプレナー型トランジスタと比べると、リーク電流を低減できるほか、より少ない電力消費でパフォーマンスを向上可能で、小型フォームファクタのゲーミングPCなどに向けて設計しているという。

「Polaris」は新たにFinFETプロセスによる製造となる。AMDの発表では14nmプロセスとのことでおそらく、GLOBALFOUNDRIESまたはSamsungのFabでの製造となると思われる。ただし、この資料ではプロセスルールを明記していないので、TSMCの16FFプロセスでもあわせて製造する可能性も残されている

FinFETの解説。FinFETは立体的な3次元構造のトランジスタで、従来のプレナー型トランジスタと比べるとより少ないリーク電流で同等のパフォーマンスを実現できるといったメリットがある。Intelは22nm世代で「3Dトライゲートトランジスタ」としてFinFETを導入している

28nmプレナー型トランジスタとの比較。縦軸がリーク電流で横軸がパフォーマンス。同じリーク電流ではFinFETの方が高いパフォーマンスを得られる

縦軸が周波数。横軸が消費電力。より少ない消費電力で高い周波数を実現する

また、AMDは「Star Wars Battlefront」を使った電力消費のテスト結果を公開。「Polaris」ベースのGPUとNVIDIA GeForce GTX 950で、Midプリセット/1,920×1,080ドット(フルHD)/60fpsの描画を行ったところ、「Polaris」ベースでは89W、NVIDIA GeForce GTX 950では140Wだったという。AMDでは「Radeon GPUにおけるワットパフォーマンスの歴史的飛躍」としている。

「Polaris」とGeForce GTX 950を搭載したシステムでそれぞれ電力消費を測定した結果。1,080p/60fpsで動作させる場合、「Polaris」の方が少ない電力で実現できるという。ただ、GeForce GTX 950と比較するということは、「Polaris」はミドルレンジから投入ということなのだろうか

「Polaris」ベースのGPUは2016年半ばの投入となる