オウケイウェイヴ(OKWAVE)とテックビューロは1月4日、事業提携してブロック・チェーン技術である「mijin」による知財販売決済やユーザー認証、サポート・キューの実証実験と共同開発を実施すると発表した。

ブロック・チェーンは、ビットコインによって発明された、P2P方式によるデータ処理の基盤技術で、複数のコンピューターが分散型合意形成を行い、暗号署名しながらブロック単位で複数データを処理するのが特徴だという。安価なコンピューターで稼働し、ゼロダウンタイムと、改ざん不可能なセキュリティを実現するという。

同技術はフィンテック(FinTech)の分野で注目されているといい、ゼロ・ダウンタイムの決済システムを安価に構築可能とのこと。これに加え、暗号技術に基づくセキュリティの高さから、ユーザー認証や権利の管理、権利の移転記録(決済)の基盤技術としても期待が高まっている。

今回の提携により、OKWAVEが数多くの企業に提供しているというQ&Aシステムやコールセンターのシステムに、テックビューロが持つ国内唯一というプライベート・ブロック・チェーン技術である「mijin」を応用することによって、より安全なユーザー認証とサポート・キュー・システムの実証実験と共同開発に取り組む。

また、OKWAVEにて2016年にリリース予定の知財販売サービスでは、知財権利の管理と決済の部分について、mijinをベースにした販売システムを構築していく予定という。

ゼロ・ダウンタイムと強固なセキュリティの両立のイメージ

ブロック・チェーンは複数のコンピュータ(ノード)で稼働しており、全てが同時にダウンしない限りは止まることなく動き続けるとのこと。これにより、同技術でゼロ・ダウンタイムの勘定エンジンを実現できるとしている。

また、公開鍵暗号によるセキュリティ機能を備えており、mijinが基本機能として実装しる複数鍵(マルチ・シグネチャ)を利用して、内部に保存するデータのアクセス権限を厳密に管理し、不正な改竄や消去を防止できるという。

ブロック・チェーンによるユーザー認証の安全性強化のイメージ

OKWAVEは外部サイトに対してOKWAVE IDによるログイン認証を提供しており、既存のユーザーにおけるユーザー名+パスワードのインタフェースは変えず、内部の認証システムに公開鍵暗号のマルチ・シグネチャを用いたブロック・チェーンを実装することにより、内部の不正や漏洩が原理的に不可能な、より安全なシステム構成を研究開発するという。 さらにスマートフォン用アプリからは、直接的に公開鍵暗号技術を使用したマルチ/ シグネチャ(複数鍵)による2段階認証や、生体認証と秘密鍵を組み合わせた簡易ログインなどの実証実験も実施する予定としている。

サポート・キューの安全性・堅牢性強化のイメージ

ヘルプデスクである「OKWAVEのOKBIZ. for Helpdesk Support」に関しては、ブロック・チェーンのゼロ・ダウンタイム機構と「データの整合性が崩れない」「データを改竄できない」という特長を利用し、より堅牢で安全なサポート・キュー・システムの開発に取り組むとのこと。

ブロック・チェーンによる知財の管理と決済のイメージ

ブロック・チェーンの勘定機能は自動的に二重払い(ダブル・スペンド)を防止するといい、情報の記録と移転には必ず電子署名が伴うため改竄は不可能という。これらにより、ブロック・チェーンは登記や決済など所有権の管理と移転にも適した仕組みとしている。OKWAVEは知識や知財を個人が販売できるサービスの展開を2016年に予定しており、そこでmijinのブロック・チェーンを利用する権利の管理と決済システムを構築する予定という。

なお両社は、これらの実証実験と共同開発に取り組む他、その成果をブロック・チェーンを組み込んだ製品として、一般にも共同で販売していく予定とのことだ。