アルコールはほどほどにしよう

年末年始は忘年会に新年会と、アルコールを摂取する頻度も増える。浮世を忘れさせてくれるお酒ではあるが、肝臓にダメージをきたすなどのデメリットもある。そのデメリットの一つとしてあげられる研究を、カナダの研究チームが有力な医学誌「ランセット」のオンライン版にて報告した。

同研究の内容は、「飲み過ぎは死亡リスクを約3割上昇させる可能性があることを示唆する」というものだ。研究グループによると、アルコール摂取は自らの意思でその習慣を修正する(控える)ことが可能なものである。そのような修正可能なものの中で、死と関連する順にランク付けしたとき、飲酒は第3位という高い位置につけられるという。

従来のアルコール摂取に関する研究は、そのほとんどが高所得の国で行われていたため、同研究では異なる所得レベルの地域ごとに飲酒の習慣とその結果について検証した。

研究グループは、世界12カ国の35~70歳の成人のさまざまなデータを分析。その総数は11万4,970人にものぼった。そのうち、1万2,904人(11%)が高所得国、2万4,408人(21%)が中程度の高所得国、4万8,845人(43%)が中低所得国、2万8,813人(25%)が低所得国だったとされている。

中央値4.3年の追跡期間中にこれらの人は2,723人が死亡し、心臓・血管系の病気(2,742人)、心筋梗塞(979人)、脳卒中(817人)、アルコール関連のがん(764人)などになったことが確認された。

約11万5,000人中で現在もアルコールを摂取しているのは3万6,030人(31%)で、この約3割からは飲酒と疾病リスクの関係が確認できたと論文は報告している。具体的には、心筋梗塞のリスクが24%低下した一方で、アルコール関連のがんのリスクが51%、傷害リスクが29%増加。さらに、高頻度で飲酒をする人は、31%も死亡リスクが増大していたという。

また、所得と飲酒に伴う疾病リスクも検証。高所得国と中程度の高所得国で現在飲酒している人では、飲酒によって何らかの疾病が起こるリスクは低下していたが、中低所得国と低所得国ではこの現象が確認できなかったという。

研究チームは今回の結果が、有害な飲酒を減らすためのグローバルな世界戦略の一助となりうる十分な共有性を証明したとしている。

年末年始は酒の席が続くとはいえ、飲酒はほどほどにするのがよさそうだ。

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