エルテスは12月24日、同社が保有する「炎上データベース」をもとに、2015年の炎上についてまとめた「2015年炎上総集編」を公表した。

これによると、月間炎上件数はいずれの月も昨年を上回り、12月は21日時点で81件を記録。インターネット利用時間が長くなる連休は炎上件数が増えやすい傾向があり、これから年末年始の連休があることを考慮すると、2015年12月の炎上件数は今年最大になると予測される。

「月間炎上数の推移」(提供 : エルテス/炎上データベース)

いずれの月でも昨年を上回った要因として、同社はまず、SNS利用者数の増加をあげる。ICT総研の調査によると、日本における2015年のSNS利用者数は、2014年の6,023万人から6,451万人への増加を見込んでおり、今後もさらに増加する見通し。また、SNSの種類も昨年より増え、炎上の発生元となるSNSの利用者の拡大が炎上件数を増加させる大きな要因となっていると分析する。

「日本におけるSNS利用者数」(提供 : ICT総研「2015年度SNS利用動向に関する調査」)

さらに、日常の風景を撮影しSNSに投稿した写真に個人情報などが写り込むといった、これまでになかった炎上も発生。従来は画像が粗く読み取れなかったが、スマートフォンのカメラ画像の性能が飛躍的に向上したことで、拡大すると明確に読み取れてしまうケースが増えているようだ。この場合、投稿した本人には自覚がなく、気づいた時には炎上しているという。

2015年炎上TOP5、重要ニースがランクイン

また、同レポートでは、炎上をその内容でジャンル別に分類。特に多かったのは、「異物混入」「安保法案関連」「オリンピック関連」「情報漏洩」「バイトテロ」の5つとなった。

【1位】異物混入
昨年末に炎上した「カップ麺昆虫混入問題」がマスメディアでも大々的に報道されて以降、TwitterやFacebook上で異物混入の告発が多数上がっているが、画像と一緒に拡散されることからインパクトが強く、より炎上しやすい性質がある。その一方で、虚偽の告発や、自宅で自然に混入したものであることが証明されて投稿者本人が炎上するケースも多かった。

【2位】安保法案関連
安保法案に関するSNS上の失言や過激なコメントを火種とした炎上は、今年を象徴するものといえるだろう。安保法案関連では、明らかな失言から、思想が分かれることによって議論が白熱し大炎上に繋がるものまで多数の炎上が発生し、火種の投稿者は国会議員やタレント、大学教授、経営者など多岐にわたった。

【3位】オリンピック関連
5年後のオリンピックに備えてさまざまな施策が講じられている中、「税金の無駄遣い」「不透明性」の観点からの炎上が多かった。発端はエンブレムの盗作疑惑で、この問題に対してTwitter等でコメントした著名人が炎上したり、政府に対する批判が集中した。

【4位】情報漏洩
今年は「マイナンバー制度」の導入にあたって、国民全体の個人情報の取扱いに対する視線がよりいっそう厳しくなっており、マイナンバーを提示する先の行政による情報漏洩事故が大炎上に繋がった。2016年1月からマイナンバーの運用が始まるため、このジャンルでの炎上件数は今後、増加することが見込まれる。

【5位】バイトテロ
アルバイト店員が悪ふざけをした様子を気軽にSNSに投稿して炎上、クレームや不買運動にまで発展させる「バイトテロ」は、2013年に各地で頻発し、依然として断続的に発生している。

2016年 炎上予測

2016年は、SNS利用者数や新たなSNSが増えることが予想されることから、さらに炎上件数が増加することが予測される。来年もその時のニュースに関連する炎上が見込まれると同時に、「異物混入」「情報漏洩」「バイトテロ」などの、ここ数年間、毎年一定数発生する問題も見過ごせない。

予測可能な炎上については事前に対策を打つことが可能なので、各企業・団体が事前にどう動いたかが問われる一年になると考えられる。