愛知県刈谷市の"スマホ夜間制限"の今--ルール浸透もネット依存の生徒に課題

菊地由美子  [2015/12/25]

スマホ規制導入の刈谷市、子どもたちに変化はあったか

「21時以降は親がスマホを預かる」——。昨年4月、市内の全小中学生と家庭向けにスマートフォンに関する使用ルールを呼びかけた愛知県刈谷市。いわば”スマホ規制”を始めてから1年半以上がたったいま、親や子どもたちにスマホに対する意識の変化はあったのだろうか。刈谷市児童生徒愛護会委員長で雁が音中学校の加藤祐介校長に話を聞いた。

9割以上の保護者がルールの呼びかけに「賛成」

この取り組みは、同市の市教委や小中学校長、警察などでつくる刈谷市児童生徒愛護会が発案し、実施しているもの。各小中学校長とPTA会長名で昨年4月と今年4月、各家庭に文書でルールを呼びかけた。内容は、「(1)必要がなければスマホは持たせない」「(2)機能制限(フィルタリングサービス)を利用するなど親子で約束を結ぶ)「(3)21時以降は保護者が預かる」の3つとなっている。

先進的な取り組みとして注目を集めた”スマホ規制”。その後、家庭や学校で、ルールは受け入れられているのだろうか。 雁が音中学校では、取り組み開始後の昨年5月と今年5月にアンケート調査を実施。結果は以下の通りになっている。(かっこ内は昨年5月の結果)

スマホ・携帯の使用ルールを決めることをどう思うか
賛成: 44.2%(48.6%)
反対: 16.4%(10.3%)
どちらともいえない: 37.6%(40.3%)

スマホ・携帯使用に関して家庭で話し合いをもった
はい: 66.0%% (69.4%)
いいえ: 34.0% (30.6%)

スマホ・携帯使用を使用しない時間を決めている
決めている: 35.9%(39.5%)
決めていない: 64.1%(60.5%)

新しいルールを決めたことで生活に変化はあったか
勉強に集中できるようになった: 29.0%(27.4%)
睡眠時間が増えた: 19.3%(21.5%)
精神的に楽になった: 4.8%(6.8%)
特に変化はない: 59.4%(53.9%)

昨年の調査に比べて生徒の反応はやや消極的になっているが、「勉強に集中できるようになった」など歓迎する声も一定の割合を維持している。また保護者は「学校が決めてくれたほうが子どもに守れと言いやすい」などとして昨年、今年とも9割以上が賛成の意見を表明。家庭だけでルールを決めて子どもに徹底させるのはなかなか難しいという親の本音が透けて見える結果になった。市生涯学習課も「このルールが家庭でスマホ使用について話し合うきっかけになれば」としている。

さらに、学校でも取り組みは広がっている。同中学校ではルールを周知するほか、スマホの使い方を話し合わせる学級活動を実施。警察署と連携して生徒・保護者向けにスマホの危険性や犯罪事例を紹介するワークショップも開催した。生徒間でトラブルがあったときにはすぐに保護者を交えて指導するなど、きめ細かい対応を積み重ねている。

「スマホ・携帯電話利用による生活習慣の乱れやネットいじめ、犯罪に巻き込まれるなどのトラブルが課題となっていた」とする同市。これらの取り組みの結果として、「LINEの書き込み方などへの意識が高まり、トラブルが減ってきた」と加藤校長は話す。

スマホに依存する前に対策を

 一方で、スマホ規制には課題も残る。すでにスマホ依存に陥ってしまっている一部の生徒には、ルールができても使用実態にあまり改善が見られないというのだ。「頭ではやめるべきだと分かっていてもなかなか手放せない。なかには夜9時以降は使用禁止というルールを、帰宅してから夜9時までずっとスマホをやる理由にしてしまっている子もいると聞く。そもそも中学生にスマホは必要ないと思うが、持たせる前によく話し合うことが必要だと思う」。

ルールをかざしても、スマホにすっかり慣れてしまった生徒から急に取り上げるのは容易ではない。そうなる前から家庭できちんと対策を考えるべき。1年半の取り組みはそんな課題も浮き彫りにした。実際、市内のある小学校では75%もの児童がルールを決めることに賛成したという結果もある。この数字をいかに維持していけるかが今後の定着の鍵になりそうだ。加藤校長は「小学校ではスマホに対する危機感がまだ薄いというのが現状だが、今後は積極的に取り組んでいくよう働きかけていきたい」と話している。

※写真と本文は関係ありません

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