政府は24日、2016年度の当初予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は2015年度当初予算比3,799億円増の96兆7,218億円となり、過去最大を更新した。

社会保障費は過去最大の31兆9,738億円

歳出の内訳をみると、社会保障関係費は同1.4%(4,412億円)増の31兆9,738億円。過去最大を更新したものの、増加幅を5,000億円以内に抑えるとした「経済・財政健全化計画」の目安に沿う形となった。

安倍内閣が掲げる「一億総活躍社会」を実現するための予算として、同5,000億円増の2兆4,000億円を充当。主な施策として、「希望出生率1.8」に直結する施策に1兆4,740億円、「介護離職ゼロ」に2,360億円を確保し、このうち「希望出生率1.8」については、保育の受け皿の拡大に1,191億円、保育人材の確保に118億円、低所得のひとり親家庭・多子世帯への支援(幼児教育無償化を含む)に126億円を充てる。

2016年度予算の特徴(2)(「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」関連予算)(出典:財務省Webサイト)

公共事業関係費は同0.0%(26億円)増の5兆9,737億円と、ほぼ横ばい。防災・減災対策を充実するとともにインフラの老朽化対策を計画的に推進する。また、民間投資を誘発し、経済活性化につなげる物流ネットワークの整備等を進めるとしている。

防衛関係費は同1.5%(740億円)増の5兆541億円と、初めて5兆円を突破。中期防対象経費が386億円増えたほか、SACO・米軍再編関係費等が354億円増加した。ODA(政府開発援助)は同1.8%(98億円)増の5,519億円と、1999年以来、17年ぶりに増加した。

地方交付税交付金等は同1.6%(2,547億円)減の15兆2,811億円。地方税収の増加などを反映して別枠加算0.2兆円を廃止し、地方交付税交付金等は15兆3,000億円に減額しつつ、地方の一般財源総額を確保したという。

このほか、文教および科学振興費は同0.0%(4億円)減の5兆3,580億円、中小企業対策費は同1.7%(31億円)減の1,825億円、エネルギー対策費は同3.6%(323億円)増の9,308億円、食料安定供給関係費は同1.3%(185億円)減の1兆282億円などとなった。

歳入は、税収が同3兆790億円増の57兆6,040億円と、1991年度(決算)以来、25年ぶりの高水準となる見通し。新規国債の発行額は同2兆4,310億円減の34兆4,320億円で、歳入に占める借金の割合を示す公債依存度は同2.7ポイント減の35.6%程度を見込んでいる。