IDC Japanは12月21日、国内インクジェットプリンタおよびMFP(インクジェットプリンタとコピーやスキャナを一体化した製品)市場に関する2015年第3四半期(7~9月期)の実績を発表した。

これによると、インクジェット製品の総出荷台数は、前年同期比5.1%減の113万8000台。インクジェット製品に占めるインクジェットMFPの比率は87.7%で、前年同期比でほぼ変化がなかった。

2015年第3四半期におけるインクジェット製品の総出荷台数の内訳は、インクジェットプリンタ(単機能製品)が前年同期比9.8%減の14万台、インクジェットMFPが前年同期比4.5%減の99万8000台。一方、前四半期比ではインクジェットMFPが22.2%増と、2四半期連続で出荷台数を伸ばす持ち直しの動きも見られた。

また、インクジェットプリンタは前四半期比1.3%の減少となり、減少幅は2四半期連続で狭まっているが、これについてIDCでは、市場が長期的な縮小傾向にある中で、ベンダー各社が実施したキャッシュバックキャンペーンやタイムセールといった価格政策が一定の効果を上げた結果とみている。

国内インクジェット製品 四半期別出荷台数と前年同期比成長率の推移、2012年第1Q~2015年第3Q 資料:IDC Japan

ベンダー別出荷台数シェアでは、第1位がキヤノン(47.9%)、第2位がエプソン(39.2%)、第3位がブラザー(9.0%)、第4位がHP(3.2%)。この4社の合計で国内インクジェット製品市場全体の99.3%を占める。

前四半期比で見ると、キヤノンとエプソンの出荷台数の伸びが大きい一方、ブラザーはやや減少。HPは出荷台数規模では少ないが、流通在庫の滞留が解消したことにより、前四半期の約2倍の出荷台数を記録した。また、今期は上位2ベンダーのシェアにやや差が出たが、IDCはこれに関して、キヤノンが主力機であるA4サイズのMFPを中心に積極的な価格政策を進めて出荷台数を押し上げた一方、エプソンのスマートチャージビジネスの伸び悩みが響いたとみている。

IDC Japanの菊池敦氏は「消費増税前の駆け込み需要からの反動減は、ようやく軽微なものに。しかし、インクジェット製品には長期的な市場縮小、特に第4四半期(10~12月)には年賀状需要の減少にどう対応するかという大きな課題がある。その中で、第3四半期には、主要ベンダーから施策転換の動きが見られた。この成否は今後のインクジェット製品市場を左右する可能性があり、動向に注目している」と述べている。