東京都・六本木のサントリー美術館(東京ミッドタウン内)は、宮川香山(初代)の「眞葛焼(まくずやき)」の全貌を紹介し、超絶技巧のやきものの魅力に迫る展覧会「没後100年 宮川香山」展を開催する。会期は2016年2月24日~4月17日(火曜休館、ただし4月12日は開館)。開館時間は10:00~18:00(金・土、および3月20日は20:00まで開館)。入館料は入館料は一般1,300円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料。

左:高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指 初代宮川香山作 明治時代前期 19世紀後期 田邊哲人コレクション 右:同(部分)

高取釉高浮彫蟹花瓶 初代宮川香山作 大正5年(1916) 田邊哲人コレクション

同展は、日本に少なかった香山の作品を世界中から探し出し、約50年にわたって香山研究を続けてきた田邊哲人氏のコレクションを中心に、明治時代から大正時代を代表する陶芸家・宮川香山(初代)の「眞葛焼」の全貌を紹介し、超絶技巧のやきものの魅力に迫る展覧会。天保13年(1842)、京都の真葛ヶ原(現在の京都市東山区円山公園一帯)の陶工の家に生まれた宮川香山(虎之助)は、幼少の頃より父・長造から陶器や磁器の製法を学び、万延元年(1860)に家督を継いだ。明治3年(1870)、京都を離れた香山は、文明開化の町・横浜へと向かう。当時、明治政府は近代産業の育成に力を入れ、外貨獲得の手段の一つとして陶磁器をはじめ、様々な工芸品を輸出することを奨励していたという。香山は、欧米諸国の趣向に応える新たな美を創り出すことに尽力し、中でも、陶器の表面をリアルな浮彫や造形物で装飾する「高浮彫(たかうきぼり)」という新しい技法を生み出し、日本陶磁における装飾の概念を覆すような、精緻で独創的な世界を作り出していった。

高浮彫南天ニ鶉花瓶(一対) 初代宮川香山作 明治時代前期 19世紀後期 田邊哲人コレクション

色嵌釉紫陽花図花瓶 初代宮川香山作 明治時代後期~大正時代初期 19世紀末期~20世紀前期 田邊哲人コレクション

釉裏紅赤雲龍文花瓶 初代宮川香山作 明治時代中期 19世紀後期 田邊哲人コレクション

明治10年代半ば頃から、香山は新たに釉薬と釉下彩の研究に取り組み、中国清朝の磁器にならった様々な技法の作品を作り始め、制作の主力を陶器から磁器に切り替えていった。そして明治29年(1896)、香山は、陶芸の分野では二人目となる帝室技藝員に任命された。宮川香山が生み出した眞葛焼は世界中から絶賛を浴び、現在でも大英博物館をはじめ世界的に著名な美術館が香山の作品を収蔵しているということだ。

なお入館料は、ホームページ限定割引券、もしくは携帯サイトの割引券画面提示で100円割引となる。